入園
結局、ペルセはミノトに引っ張られるがままで、しばらく歩かされた。嫌ではないが、ここまで強く引っ張られた経験はなかったので、少し戸惑った。
「ついた!!ここ!!絶対気に入るよー!!」
ミノトは目的地に着いたようで、ようやく歩みを止めてくれた。ペルセはそう言われ、目の前の光景を見る。
看板には、ふれあいウサギランド、と大きな文字で書かれている。その隣には、白や茶色のウサギのイラストが描かれている。
「…ウサギと、ふれあい…?」
ーーーウサギ。
魔界にも、ウサギという動物がいないわけではない。だが、多くは野生化しているうえ、魔力を纏ったせいで凶暴化している個体が多く、あれとふれあうというイメージはなかった。
「こっちこっち!!」
そんなことを考えてると、ミノトがいつの間にか離れた場所にいる。ペルセは慌てて、ミノトのもとに走っていった。
そこは、どうやら受付らしい。少し見上げると、窓越しに落ち着いた様子のおじさんがいた。おじさんは二人を見ると、少し驚いたように表情を変えた。
「おや…ミノトちゃんじゃないか!今日はお友達と?」
「うん!!子供二人で!!」
「そうか。じゃあ入園料は子供二人分で、六百SCだね」
「はーい」
ミノトはそう言うと、ポーチから財布を取り出す。
お金を払わなければならないのか。その様子を見て、ペルセも同じように財布を取り出した。
ペルセの財布の中には、千SCの札が五枚入っている。その中の一枚を取り出し、受付の方へと差し出す。
「うぇ!?ペルセちゃん、出さなくっても私が払うのに…!」
ミノトは焦った様子でペルセに声をかけてきた。
だが、この方が話が単純ではないのか。ペルセは不思議に思い、首を傾げていた。
すると、その様子を見ていたおじさんが笑い始めた。
「いいじゃないか、ミノトちゃん。あとでお友達に自分の分を返してあげれば」
「え、え〜…?」
「はい、これお釣りね」
それだけ言うと、おじさんはペルセに小銭を四枚差し出してきた。ミノトは若干不満げにしていたが、おじさんはまるで気に留めていない。
ペルセは、差し出されたお釣りを素直に受け取り、財布の中へとしまった。
「ミノトちゃん、ちゃんとその子に返してあげるんだよ?」
「わ、分かってるもん!!」
ミノトはそう言うと、自身の財布から慌てて硬貨を三枚取り出し、ペルセに渡してきた。どうやら、百SCを三枚で払うつもりらしい。
「…あんまり、気にしなくて良いんだけど…」
「ここでペルセちゃんに払わせたら、私お母さんに怒られちゃうもん!!」
ミノトはそう言うと、半ば強引に、ペルセの手にお金を握らせてきた。
「ふふ…行ってらっしゃい」
おじさんはそう言うと、二人を送り出してくれた。ミノトはすぐに気分を切り替えたらしく、元の笑顔に戻った。
「よし!じゃあペルセちゃん!行こ!!」
「だから引っ張らないでよぅ!!」
そう言いながら、ミノトは再びペルセの手を引っ張る。
ーーー相変わらずの勢いと、マイペースさ。どうにも、ミノトのこのテンションには慣れる気がしない。ペルセは必死に、ミノトについていった。




