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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第五章 放課後の大事件

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現場からの帰還

「ラ、ラウラ先生…!!」


 声のする方を見ると、そこにはラウラが立っていた。ミノトの担任であるラウラを見て、ミノトの母親は慌てて頭を下げた。


 ラウラはそれを特に気にする様子もなく、現場を観察する。


「エストラの先生ですか?状況はお伝えした通りです。我々としても、信じがたいのですが…」

「…そのようですね」


 警備隊から声をかけられたラウラは、倒れているトロールを見ている。表情があまり表に出てこないラウラが、難しい表情になっている。


 ーーーこれは、夢ではない。現実なのだ。改めて、そう突きつけられてる気がした。


 すると、ラウラはダリスの方へと顔を向けてきた。


「…事情は警備隊の方から粗方聞いています。大変でしたね、ダリスさん」

「そんな…俺は…」


 ラウラの声に、ダリスを責める感情は全く入っていない。それどころか、むしろ労ってすらいるような声色だ。


 慰められても、自分ができたのは泣いてるミノトを支えることだけだった。トロールを黙らせたのは、ペルセだ。信じがたいことに。


「ダリス君、あなたがいなかったら娘がどうなってたか分からなかったわ。だから、ありがとうね」

「おばさん…」


 ミノトの母親は、ダリスの肩を優しく叩く。何だか、照れ臭くなり、思わず視線を逸らした。


 ラウラはミノトの母親へ、ゆっくりと体を向けた。


「ミノトさんとダリス君を、ご自宅まで送り届けていただけますか?私はこの子を、ペルセさんを送迎しますので」

「えぇ。元々、ミノトとダリスを迎えに来たつもりでしたから、そうさせていただきます。お気遣いありがとうございます、ラウラ先生」


 そう言いながら、二人は互いに頭を下げた。


 何だか、居た堪れない。こんな場面に遭遇すると、子供としてはどうすればよいのか分からなくなる。ダリスはそのやり取りを見守ることしかできなかった。


「ペルセさん、帰りましょうか」

「はーい」


 ラウラは優しくペルセに声をかける。それに対し、ペルセは無邪気な笑顔で応えていた。

 先程まで、冷徹にトロールと対峙していた者と同一人物だとは、どうしても思えない。


 ペルセはそのままラウラに連れられて、二人でその場を離れていく。

 ダリスは二人の背中を、しばらく眺めていた。


「ダリス君」


 ボーッとしていると、ミノトの母親から声をかけられた。見てみると、ミノトの母親は落ち着いたのか、いつもの穏やかな表情に戻っていた。


「はい」

「帰りましょうか。君も送るわよ」

「ありがとうございます」


 ミノトの母親はそのまま、ダリスの前を歩き出した。ダリスも現場を警備隊の者達に任せることにし、その場を後にするのであった。

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