食欲暴走ー初めての、美味しい食事ー
気づいた時には、目の前にある肉にかぶりついていた。
熱さが、手から伝わってくる。しかし、その熱さも気にならない。今はとにかく、口に何かを入れたい。
口の中の肉を噛む。中から汁が溢れ出てきた。
ーーー美味しい。
ダスノムでも肉を食べたことはあるが、まるで違う。味もそうだが、こんな柔らかくはなかった。
もっと。
もっと。
もっと食べたい。
次から次へと、ペルセは手を伸ばし、掴み、口に運ぶ。とにかく今は、目の前の美味しいものを、たくさん食べたかった。
「ちょ、ちょっと、フォークを…」
ハイーラが戸惑うように声をかけてきたが、もはや耳に入らない。今はそれどころではない。
口の中に入っている肉を噛み切りもしないまま、ペルセは米の入っている縦縞の容器に手を伸ばした。そして、中に入ってるものを、手ですくい、口に押し込んだ。
ーーー温かい。
米も、ダスノムで食べたものとはまるで違っていた。
肉と米が混ざり、口の中は大変なことになっている。しかし、そんなことは気にもならない。
まだ。
まだ。
食べたい!!
肉と米で喉が詰まりそうになるのも気にせず、ペルセは次々に、食べ物を口へと運んでいく。
「…すごい食べっぷりだね〜」
隣で、肉の塊を切りながら、ゆっくり食べてるマールに、何か言われてる気がする。しかし、そんなことを気にしてる余裕もない。
「…お腹すかせてるとは聞いてたけど、これほどとはね…」
「私もちょっと、予想外だね〜」
「…今まで、あんまり美味しいご飯食べれてなかったのかしらね…」
「かもね〜」
ハイーラの声も追加で聞こえてきた。しかし、何を言っているかは分からない。
ペルセの目は、野菜の方に向いた。手が黄色い液体で汚れることも気にならず、そのまま手で掴み、口の中に運ぶ。
肉や米とは違う、少し刺激のある味だ。しかし、不思議と野菜に合っている。
食べたい。
食べたい。
もっと。
もっと。
まだ、足りない!!
もはや、手を止められなかった。ペルセの手は、勝手に食べ物を次々に掴み、口の中へと押し込んでいく。
ペルセ自身、段々何を食べているかが分からなくなってきた。
「…マール、後で掃除を手伝いなさい」
「え〜」
「この子はあんたが連れてきたのよ。その面倒を私に投げるのは、筋が通らないわよ」
「…分かったよ〜。しょうがないなぁ〜…」
またハイーラ達がなにか言っている。しかし、何を言われようと、ペルセにも自分の手を止めることはできなかった。
美味しいものを、たくさん食べても叱られない。
そんな当たり前のことが、ペルセにとってはたまらなく嬉しかったーーー。




