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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第四章 魔術学校・エストラでの暮らし

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ペルセの実習

 ペルセが指定された場所へと立つ。その姿は、少し変わった姿をしてる、ただの小さい少女にしか見えない。


「…さて…」


 ラウラの視線は、自然とペルセへと向く。


 魔界からの留学生である、悪魔ペルセ。同族であるヴァーレアがあれほどまでに畏まり、敬う血統を持つ相手。

 ーーーどれほどのものか、見させてもらうとしよう。


 ラウラは他の生徒のことも気にかけつつ、ペルセの様子をうかがっている。若干の緊張は見えるが、自然体に近そうな様子だ。


「えっと…」


 他の生徒が好き勝手打っていた中、タイミングを伺ってるようだ。ペルセの少し不安そうな目が、こちらを向いている。


 ラウラは表情を変えることなく、淡々と口を開いた。


「いつでもどうぞ」


 ラウラのその言葉を聞いて、ペルセは小さく頷いてくれた。そして、的の方へと視線を戻した。


 皆の視線が、ペルセに集まっている。魔界仕込みの魔力がいかほどのものなのか、高等部の生徒や、エルフィーでさえも気になるようだ。


 ペルセは指を的に向けて突き出すと、静かにその場で魔力を練り上げているようで、目を閉じている。

 時間が経つと、その指先に白い魔力が集中し始める。


 ーーー白い魔力。こんな色の魔力は、初めて見る。

 青や紫、紅や桃といった色のついた魔力なら、いくらでも見たことがあった。だが、それは種族による資質や本人の魔力の質によるものだった。


 だが、白色の魔力は、異質だ。

 これは理論上、なんの穢れもない、とてつもない質である魔力だ、という事実を保証していることに他ならない。ヴァーレアでさえ、白い魔力を出すことはできない。


 魔力が白いことの意味は、生徒達には理解できないだろう。白い魔力の神秘的な光景にはしゃぐ子供達から視線を逸らし、エルフィーに視線を向けると、同じ事を考えていたようで、目を見開いている。


「まさか…そんな…!?」


 頭の中に、精神世界のヴァーレアの声が響く。やはり、ヴァーレアにもこの異常が理解できているようだ。


 これは、後々職員室で話してみる価値があるかもしれない。そう考えながら、ラウラは引き続きペルセを見続ける。


「ド真ん中を狙って…」


 ペルセの目つきが、若干変わっている気がする。その一方で、指先の魔力は絞られており、さらに一切ブレがない。クラスで制御が最も上手であるダリスと同等か、下手をするとそれ以上の制御技巧に見える。


「…発射」


 ペルセは冷静に、魔力弾を打ち出した。

 弾は空気を切り裂く勢いと共に、的へと着弾した。着弾したのは、的の真ん中にかなり近い場所であった。


 だが、それと同時に、高くつんざく魔力の破壊音が実習室へと響き渡った。


「うわ!?」

「な、なに!?」


 ミノトの時とは違う、ただ魔力が炸裂した時のような音ではない。これは、魔力による防御壁が破壊された、聞きたくない音だ。


 生徒達がざわつく中、ペルセの打った的を確認しに、エルフィーが慌てて駆け寄った。

 ラウラが周囲を確認しても、実習室の結界に異常は見られない。一体どこからの音なのか。


 すると、的を確認したエルフィーが、震えながら小さく声を上げた。


「…的の修復魔法壁が…完全に、無力化されとる…!?」


 その言葉はラウラにとって、最悪の事態ではないにしても、異常事態を知らせる一言だった。

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