ミノトの実習
小学部の生徒達が、的の前に立っている。
高等部の生徒達が、まるで銃弾でも撃つかのような構えで打ち出していたのに対し、クラスメイトの構えはただ手を突き出すだけの、単純な構えだった。
高等部の生徒と比べると威力が絞られていないようで、魔力弾の発射時、そして的への命中時には大きな爆発音がした。
「うぎー!全然当たらない!!」
クラスメイトの一人が、不満げに地団駄を踏んでいる。見てみると、大きな的の外側に魔力弾の衝突痕があった。
そんな生徒を見ても、ラウラはまるで動じていなかった。
「落ち着いてください。狙いを定める時間が流石に短すぎます」
「でも!!すぐに打たないと!!」
「別にそんな時間がカツカツなわけではありません。周りを気にせず、自分のペースでゆっくり狙いを定めなさい」
「うー…」
ラウラにそう言われ、複数のクラスメイトは唸りながらも、冷静さを取り戻している。やはり、ラウラはこのクラスの対応に慣れているようだ。
すると、ミノトが的の前に立った。どうやら、出番が回ってきたらしい。
「んー…!」
ミノトは他のクラスメイトと同様、手を突き出す構えで的の真ん中を狙っているようだ。だが、その手は震えており、さらにじっとしていられないのか、体も揺れていた。
そんなミノトの手に、魔力が集まっていく。だが、その量は他のクラスメイトと比べると、明らかに多い。
ーーーあれは、打って大丈夫なのだろうか。
そう思いながら見ていると、ラウラがため息をつきながらミノトの背後へと近寄る。だが、ミノトを止める気はなさそうで、ミノトに触れることはなかった。
「えーーいっ!!」
ミノトはそんな掛け声とともに、自身の魔力弾を放った。反動でミノトは後ろへのけぞったが、ラウラが受け止めていた。
こうなることが、予想できていたようだ。
ミノトの放った魔力弾は、ミノトの顔よりも大分大きい。だが、その大きさに反して、スピードは遅く、しかも勢いもない。
魔力弾はゆっくりと数十センチ程度進んだ後に、的へ届く前に地面へ着弾した。
一際、大きな破裂音がした。周りの皆が、実習を一時停止し、ミノトの方を見たほどだ。だが、小学部の生徒達は、すぐにいつものことだと言わんばかりに視線を外した。
「うー…的が遠いよぉ…」
「射出地点から的までは3メートルほどです。出力を絞らないと、魔力弾そのものの重さで前に飛びませんよ」
ぐずりそうなミノト相手に、ラウラは優しく声をかける。
確かに的へ目を向けると、先程高等部がやっていた時より何倍も近くにあった。実際、他の生徒達は的に当てることこそ稀だが、的の近辺には届かせることができていた。
故に、的が遠いということはないのではないだろうか。
「全く…お前学習しねぇな」
「だって!やっぱり大量の魔力でドーン!ってしたいじゃん!!」
「今回のはそういう実習じゃないだろ」
ラウラに寄りかかったままのミノトに、ダリスが呆れた様子で声をかける。ダリスは尻尾を下げながら、ミノトの鼻をつまんで、引っ張り上げた。
「痛い痛い!」
「だからお前はいつまで経ってもバカなんだ」
「バカじゃないもん!!」
憤慨するミノトを尻目に、ダリスは自分の番が回ってきたことを察し、的の前へと移動した。




