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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第四章 魔術学校・エストラでの暮らし

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狼の獣人・ダリス

 ペルセは静かに、コーンサラダを口へ運ぶ。


 ーーー美味しい。


 コーンのプチプチした食感と、レタスのシャキシャキ感。魔界にも野菜というものはあるが、魔力加工がされてることもあってか、ここまでの新鮮味はない。


 続けて、豚汁を口に含む。薄めの味付けだが、肉にと汁がよい具合に染み込んでおり、経験のない風情を感じる。


 そのまま、鯵の開きにも手を付けた。こちらも野菜同様、新鮮味がある。やはり、人間界では魔力が薄い都合上、食料の保管に魔力を使っていないようだ。


「今日の人間向け献立は当たりだぁ〜!!」


 隣で、ミノトが嬉しそうな声を出している。やはり、ミノトにとっても美味しいもののようだ。


 すると、その後ろで肉を頬張っている少年が、苦々しい表情で言葉を発した。


「…いつも思うが、お前静かに食えないのか?」


 そこには、もはや呆れが入っている。少年、ひいてはクラスにとって然程珍しい光景ではないのだろう。


 ミノトは豚汁の入った器を持ったまま、後ろを向いた。


「美味しいものを美味しいって言って何が悪いの?」

「いや悪くはねぇんだけど…」

「だったらいいじゃん!ねぇ、ペルセちゃん!」


 ーーーなぜか、流れ弾が飛んできた。


 いきなり話を振られて、ペルセの箸と思考が止まる。


 一体、何だ。どうすればいいのか。同意でもしてやればいいのか。

 そんな事を考えてると、少年はこめかみを抑え、大きくため息をついた。


「…何でそうなるんだよ…しかも今日来たばかりの留学生相手に…」

「え?」


 ミノトは豚汁を頬張りながら、首を傾げている。しかし、すぐに本人の中で合点がいったらしく、何か閃いたかのような表情を浮かべた。


「あ、そうだよね!まだ自己紹介してないじゃん!!」


 そのひと言で、ペルセの意識が現実へと引き戻された。


 自己紹介。それなら、少なくともペルセの分は、朝の会の時に皆の前でやっている。


 だが、ミノトの視線はこちらに向いていない。自身の後ろの席に座る、狼の獣人の少年へと注がれている。


「お、お前なぁ…はぁ…」


 少年は尻尾を数回振ったあと、ペルセの方へ体ごと向けてきた。

 机の下に隠れていた体が、ペルセの視界に写る。ペルセやミノト、他の男子生徒よりも一回り大きな体だ。そして、袖口からは一部黒色の体毛が見え隠れしている。


「…このバカがごめん。俺が代わりに謝るよ」

「ちょっと!?バカって何!?」


 少年はミノトを指差しながら、はっきり「バカ」と言った。ミノトは抗議の声を上げたが、全く意に介していない様子で言葉を続けた。


「ペルセさん、だったっけ?」

「う、うん」

「俺はダリス。そこにいるバカとは…まぁ…長い付き合いだ」


 ダリスの言葉に、ミノトはまだ文句を言っている。だが、ダリスは聞こえてないふりを続けていた。


 昔なじみ、ということなのだろうか。そう考えると、なんだかマールとハイーラを思い出させるような関係性だ。


 と言っても、あの二人と比べると、しっかり者がいるという点は共通しているが、その相方であるミノトはマールとは対照的だ。


 非常に、うるさい。


 鯵の開きを頬張りながら、ペルセはそんな事を考えていた。


「で!で!ペルセちゃん、今日の給食、悪魔から見ても当たりだよね!?」

「その話、まだ続くのか…?」


 ダリスの呆れた様子を横目に、ペルセはこの二人と一緒に話をした。といっても、ほとんど喋っていたのはミノトだったが。


 なお、話し続けているうちに、時間をオーバーしそうになってしまい、ミノトはラウラに叱り飛ばされてしまうのであったーーー。

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