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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第四章 魔術学校・エストラでの暮らし

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「いただきます」の挨拶

 しばらく時間が経つと、全員の席に給食が行き渡っていた。

 ペルセの席には、ラウラが指示を出したようで、隣の席のミノトが配膳をしてくれていた。


「…ありがとう、ミノト」

「いーのいーの!!気にしないで!!」


 ミノトは本当に何も気にしている様子もなく、笑顔のままで席に座った。


 ペルセは少し罪悪感を覚えながら、自分の机に配膳された給食を見る。

 白飯にコーンサラダ、そして鯵の開き。さらには豚汁まであった。


 ーーーまるで、定食屋に来たかのような健康的なメニューだ。

 ミノトの机の上を見ても、同様のメニューだ。


 だが、その後ろの席にまで目を向けると、そこには大量の生肉が盛られている。


「ねーねー、ホントにそれ食べ切れるの…?私にもちょうだいよ〜」

「うるさい。仕方ないだろ、種族柄なんだから。つかこれ生だから、お前が食ったら腹壊すぞ」

「ちぇ〜…」


 ミノトが不満そうにしているが、その席に座る男子はやや呆れたようにそう答えている。


 明らかに、人間ではない。顔付きや体は完全に自分と同様の人型だが、頭にはまるで犬のような耳が生えており、椅子の下からはフサフサの尻尾が生えている。少年の黒く短い髪と同じような、真っ黒な尻尾だ。


 二人のやり取りを眺めていると、少年と視線が合った。少年はそのつり目をこちらに向けてくる。


「…何だ?お前、狼の獣人を見たのは初めてか?」

「そりゃそうだよ!ペルセちゃんはついこの間、魔界から来たばっかりなんだから!」


 少年は頬杖をついたまま、ペルセを見つめている。


 狼の獣人。魔界で育ったペルセにとって、人間すらも見るのは初めてなのに、獣人なんて聞いたこともない。少年の問いに、ペルセは何も言わずに頷いた。


「それはそうと、ミノト、お前前向けよ。先生がいただきますの挨拶しようとしてるぞ」

「あ、ヤバ!」

「ほら、お前も」


 少年はそう言うと、教壇の方を指さした。


「ほぇ?」


 言われてペルセは教壇の方を見た。すると、確かにラウラが教壇に座っていた。その目の前には、ペルセと同じ給食のメニューが配膳されている。


 ラウラは手を合わせながら、静かに口を開いた。


「さて皆さん、今日も午前中お疲れ様でした。今日は留学生という新しい仲間が増えました」


 ラウラはそう言うと、一瞬だけこちらに視線を向けてきた。それに釣られるように、一部の生徒がこちらを見てくる。

 ーーー未だに、この感じには慣れない。


「給食を食べたら、お昼休みです。皆さん、新しい仲間と仲良くしてあげてくださいね。それでは、いただきます」

「いただきまーす!!」


 ラウラが静かにそう言うと、対照的なほどに元気の良い子供の声が、廊下にまで響き渡った。

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