初めてのクラスメイト、ミノト
黒髪で二つ結びにした髪が、少女の首の傾きに対応するように流れている。ペルセもツインテールにしているが、少女の髪は、自分のよりも結ばれてる量は少なく、両側頭部から髪がぴょこんと飛び出てるように見える。
「ラウラ先生!!その子誰なんですか!?」
少女は本気で驚いてるような様子だった。ラウラの言う通り、どうやら本気で自分の存在に気づいてなかったらしい。
ペルセは自己紹介しようと、口を開こうとした。だが、それより前に、ラウラが先に口を開いた。
「正式には今日の朝の会で話しますが、留学生ですよ。今日から三週間、5年3組で一緒に過ごすペルセさんです」
「留学生!?」
少女はイキイキした顔で、ペルセの方を見つめてきた。その黒い瞳が輝いているように見える。
不思議に思っていると、少女は笑顔のままで駆け寄ってきた。
「ねえねえ!!ペルセちゃん!!私、ミノトっていうの!!ペルセちゃんはどこから来たの!?種族は何!?どこに住んでるの!?」
ミノトと名乗る少女が、矢継ぎ早に質問してくる。その勢いに、ペルセは対応しきれず、オロオロすることしかできなかった。
声にならない声しか出せずにいると、窓の方にヴァーレアの気配を感じる。どうやら、そこに姿を表したようだ。
「ミノトちゃーん…ちょっと落ち着こう?留学生がクラスに来てくれて嬉しいのは分かるけどさ…」
「無理ですよ。この子、それで止まれるほど大人ではありませんから」
ヴァーレアの言葉に、ラウラは冷静に対応していた。
確かに、ペルセの目の前にいるミノトは、今もまだペルセを質問攻めにしてきている。ペルセは答える間もなく、たじたじになっていた。
ーーーそれにしても、助けてほしい。せめて、ミノトと会話をしたい。
ペルセはそんな視線をラウラに向ける。それに気付いたのか、ラウラは何度目か分からないため息をついた。
「…ミノトさん」
「はい!!」
ラウラに呼びかけられたミノトは、即座に返事をする。やはり、ラウラのことが大好きなのは間違いないようだ。
「少し、落ち着きましょう?いつも言ってるでしょう、相手のことも見なさい、と」
「うぇ?」
「あんな勢いで質問を連打されては、質問に答えようがないでしょう」
ラウラにそう言われ、ミノトは少し落ち着きを取り戻したようで、先程までの勢いはなくなった。
ヴァーレアは窓の方で、ケラケラと笑っていた。
「とりあえずさー、教室入らない?廊下であんまりギャーギャー騒ぐのもよくないよ」
「…はーい」
笑いながらも、ヴァーレアはミノトに優しく語りかけていた。落ち着きを取り戻したミノトは、素直にその言葉に従った。
ラウラは一息ついて、教室の扉をゆっくりと開けた。ガラガラというローラーが回る音が、静かな廊下に響き渡った。




