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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第四章 魔術学校・エストラでの暮らし

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教室到着

「まず、ここが職員室ですね。来ることは多くないと思いますが、もし場所が分からなければ周りに聞いてみてください」


 職員室から出てすぐ、ラウラはその空間を指している。その一方、ペルセは職員室だけではなく、その周りを見ていた。


 先ほどから、時折大人が出入りしている。ラウラの言う通り、気軽に子供が来れる場所ではないような印象だ。


「トイレについてですが、教室に向かう道中にも何ヶ所かあります。ロゴはついてるので、それで分かるかと思います」


 ラウラはそう言うと、何の迷いもなく歩き出した。


 少し歩いていると、独特なマークが見える。逆三角形の上に、丸の入ったマークだ。赤色と黒色のものがあり、どちらも魔界では見たことがない。


「ラウラさん、このマークは何ですか?」

「…あぁ…。それが先ほど話した、トイレのロゴです。ペルセさんの場合は、赤いマークの方に入ってくださいね。黒い方は男子用ですので」

「分かりましたー」


 意味を理解した。ペルセとて、男子トイレと女子トイレの違いが分からないほど無知ではない。

 ただ、魔界で見たことがないマークであったため、少し戸惑いはしたが。


 しばらく歩いていると、校門の方角から子供達の声が聞こえてくる。もう、そんな時間なのか。自分が案内された登校時間までは、まだ1時間近くあるのに。


 後方から大人が数名、ペルセ達を追い越していく。一体、何だろうか。

 不思議に思っていると、ラウラが小さくため息をついた。


「…部活の朝練ですか。担当の先生はよくやるものですね…」

「朝練…?」

「授業開始前の朝のうちに、部活動等で練習を行うことですよ」


 部活動。

 そういえば、パンフレットにも部活動は載っていた。自分は短期の留学生であるため、正規入部はできないと言われているが、体験することくらいはできるのだろうか。


「わわっ…!?」


 そんなことを考えながらしばらく歩いていると、渡り廊下に出た。いきなり屋外に出て、風がペルセの顔を撫でる。その感触に、ペルセは驚いた。


 眼下には、校庭で運動に打ち込んでる学生達と、それに指示を飛ばしてる大人がまばらにいる光景が見える。あれが、『朝練』というものなのだろうか。


 光景が新鮮で、足を止めていたくなる。だが、ラウラはそれでも足を止めずに、前へ進んでいる。


 ーーーどうやら、のんびり見ていることはできないようだ。ペルセは、その後を追いかける。


 渡り廊下を通り、再び屋内へと入る。すると、先程いた職員室のあった棟とは異なり、その中は子供が過ごしてる、というのが伝わってくる雰囲気があった。


 子供の描いた絵、子供の字で書かれたスローガン。ここが、エストラの中で自分が過ごすことになる場所なのか。


 大人に囲まれて育ったペルセには、あまり見たことがない光景だ。だが、ああいう絵を皆でワイワイしながら作ったりするのは、楽しそうでもある。


「このフロアのトイレは、こちらにあります。ここ一カ所ではありませんが、教室に最も近いのはここですね」


 ラウラは、ペルセが先程見た赤いマークを指しながら、トイレの場所を教えてくれた。そのトイレは外観が少し汚れていたが、問題なく使えそうな印象だ。


「そして、教室はこちらです」


 ラウラはそんなペルセを待つ気がないらしく、再び歩き出した。先程から、ついていくのが大変である。


 教室は、トイレから然程離れてはいない場所にあった。上を見てみると、『5-3』という文字が書かれている。何を意味しているのか、ペルセには分からなかった。


「…ここが、私の通う場所…?」

「えぇそうです。エストラ小学部、5年3組。ここが、アナタが三週間通う場所ですよ」


 窓から教室の中を覗き見る。机が何十と並べられており、その前には教壇が設置されている。教壇の向かい側には、ロッカーが設置されており、扉の隙間から紙やら紐やらが飛び出ている。


「5年…?」

「小学部なので、年齢で分けてるんです。まぁ…5年3組であるとだけ」


 ペルセには、よく分からなかった。

 もう少し、ハイーラ達に学校というものについて聞いておいてもよかったかもしれない。ペルセは内心、そんな事を考えていた。


 ふと、ラウラの言ったことで引っかかるところもあった。


「小学部ってことは、他のとこもあるの?」

「えぇ。小中高大、全てありますよ」

「ほぇー…」


 少なくとも、小学部だけではないことは理解できた。だが、その上に何があるのかは分からなかった。


 ペルセが首を傾げていると、ラウラが静かに口を開いた。


「さて…時間が微妙ですね…」


 ラウラは腕時計を眺めている。

 その言葉につられ、ペルセも教室の中にある時計を確認した。まだ、30分程度ある。


 少し時間をつぶす必要がありそうだ。

 すると、遠くから複数の足音が聞こえてきた。

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