初登校
一時間後。
ペルセはすでに、エストラに到着していた。ラウラに連れられて、職員室へと案内された。
「おはようございます」
「お、おはよう、ございますっ!」
ラウラと共に、ペルセは職員室に入る。ペルセはガチガチに緊張していた。
まだ登校時間まで一時間程度あったが、すでに職員室には講師たちが忙しなく動き回っていた。
ペルセ達が姿を表すと、皆が一斉にこっちを見た。
「ラウラ先生、おはようございます」
「お、その子は…」
皆が口々に、ラウラに声をかけてくる。人間が多いが、明らかに人間ではないような獣の香りがする人物や、蝶のような薄い羽根が生えている者もいた。
ーーー本当に、色々な種族がいるのだと分かる。
ラウラはそれぞれへ軽く挨拶を返すと、デスクへと迷いなく向かい、椅子へと深く腰掛ける。
「ラウラ先生、今日はちと遅かったね」
その隣には、昨日ペルセに声をかけてきた、小柄なエルフの先生・エルフィーが座っていた。相変わらず目立つ、橙黄色の魔女っ娘衣装に身を包んでいる。
エルフィーは自身がかけている丸い眼鏡をキラリと光らせていた。
「…エルフィー先生」
「昨日はまともに挨拶もできんかったけんね」
エルフィーはデスクに積み上がっている書類から視線を外し、椅子を回転させて体をペルセの方へと向けてきた。
ーーー改めて見ると、本当に小さい。子供である自分と、そんなに変わらないくらいの背丈しかない。ラウラ曰く地雷らしいので、直接言うことはしないが。
「改めて、エストラへようこそ。ウチはエルフィーっちゅうモンばい。もしウチの授業を受けることがあったら、よろしく頼むばい」
エルフィーは椅子の上で胸を張っている。だが、足が地面に届いていないという事実が、嫌でもエルフィーの小柄さを引き立てている気がした。
「…よろしく、お願いします」
色々と思うところはあったが、ペルセは素直に頭を下げた。ここで揉めても意味がない。そう思い、ペルセは本音をぐっとこらえていた。
ラウラは書類を整理しながら、ペルセの方へと視線を向けた。
「さて…改めて、校内を案内しましょうか」
「え?」
ペルセはそう言われ、反応することができなかった。しかし、ラウラはそれに構うことなく椅子から立ち上がっている。
校内の案内。してくれるのはありがたいが、時間に間に合うのか。
「自分の向かう教室と、その近辺にあるトイレくらいは案内しておかないと、学校生活するうえで困るでしょう」
そう言われてしまい、ペルセは言い返すことができなかった。エルフィーも、隣で納得してる様子で頷いている。
「では、行きますよ、ペルセさん」
「あ、わ、分かりました!!」
ラウラはいくつかの書類やノートを抱え、スタスタと歩き出した。ペルセはその後を、自身のカバンを抱えながら慌てて追いかけた。




