↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第三章 人間界来訪

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
200/250

現実への帰還

 ラウラは瞼を開けた。


 その視界には、精神世界でなく、現実世界が広がっている。

 見慣れたリビング。先程飲んでいた、開封済の缶コーヒー。ちゃんと、戻ってこれたようだ。


 再び、缶コーヒーを口に含む。コーヒーの苦さが美味しい。


「…ふぅ…」


 ヴァーレアから聞いたペルセの過去は、想定以上に重い話だった。大人としても、教育者としても、言語道断な振る舞いをする者がいたものだ。


 仮に人間界、エストラの保護者でそんなことをしている輩がいたら、とりあえず説教しながら、本人に尻拭いをさせるところだろう。


 そんな事を考えてると、缶の中身がなくなった。ラウラは立ち上がり、缶をゴミ箱に捨てる。ゴミ箱の中で、他の缶にぶつかりながら、捨てた缶が奥へと落ちていく。


 静かな空間に、金属同士のぶつかる音が大きく響く。なぜそうしようとしたかは分からないが、ラウラはその光景をじっと眺めていた。


 すると、微かな音が、ラウラの耳に聞こえてくる。布が擦れているかのような音だ。


「…ん?」


 音は、ペルセのいる部屋から聞こえてきている。部屋で何をしているのだろうか。


 ラウラは無性に気になり、ペルセの部屋へと向かう。部屋の前に立って聞き耳を立ててみると、穏やかな寝息が聞こえてくる。


「…やはり、無理をさせてしまいましたかね」


 腕時計を見ると、まだ夕方だ。だが、それにも関わらず、ペルセは部屋の中で寝ているようだ。

 ドアを開けて確認しようかとも思ったが、止めた。子供が寝ているのだ、用もなく部屋に入る理由はない。


 やはり、過去がどうあっても、今目の前にいるのはペルセという、ただの一人の子供であることは間違いない。悪魔という種族への配慮こそ必要かもしれないが、それ以外は何ら変わらない。


 ーーーきっと、ヴァーレアが見たらまた大騒ぎするような、可愛い寝顔で寝ているのだろう。変に騒いで起こすのは、しのびなさすぎる。


「…ランちゃん」


 ヴァーレアが頭の中で語りかけてくる。その声は、穏やかなものだった。

 ヴァーレアもラウラの五感を通じて、ペルセの寝息に聞き耳を立てていたのだろう。「行かないよね?」とでも言いたそうな声色だった。


「シャワー等は、最悪明日早起きして対応するしかありませんね」


 ラウラはそう呟きながら、踵を返す。


 明日は留学の初日。職員室でペルセを紹介し、ペルセが通う教室へ案内しなければならない。ゆえに、早起きは確定事項ではあった。


「…お疲れ様でした。ゆっくりお休みください、ペルセさん」


 ラウラは消え入りそうな声で、扉に向けてそれだけ言い残すと、リビングへと戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。