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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第三章 人間界来訪

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ヴァーレア出現

「鏡…?」


 ラウラに言われるがまま、部屋の壁にかけてある鏡の方へと視線を向ける。そんなものを見たところで、自身の顔が写るはずだ。


 だが、その予想は大きく裏切られることになる。


「…えっ…?」


 鏡の中には、ペルセの知らない、赤紫色の髪と牛のような角が特徴的な、元気そうな悪魔の姿が写っていた。


 ーーーあれは、誰だ。少なくとも、自分ではない。


 戸惑うペルセをよそに、鏡の中に写る悪魔が口を開いた。


「ビックリしましたよね〜。でも、ボクらの関係を見せておかないと、後から説明されると余計にキツいかと思いまして〜」

「叫ぶ必要ありましたかね…ヴァーレア」


 ラウラは、鏡に写る悪魔を、ヴァーレアと呼んでいる。魔力の気配や声色からしても、学長室で出てきたヴァーレアと、同一人物で間違いはなさそうだ。


「関係、って…?」

「ボクはランちゃんの中にいるから、基本表には出てこないんです。出てくるとしたら、学長室でやった時みたいにランちゃんの肉体通じてか、今やってるみたいに鏡とか窓に反射した姿として出てくるか、ですね」

「何で、そんなことに?」


 訳がわからないまま、ペルセはヴァーレアに尋ねる。鏡の中にいるヴァーレアは、顎に手を当てて、考える素振りを見せた。


 そんなにややこしい話なのか。ペルセは少し身構えた。


「全部説明すると長いんですけど、まぁ契約の都合です。形式上、ランちゃんの精神の中で過ごすって契約なんで」

「…精神の中…」

「まぁ、ボクはこうやって、鏡とかを介して表に出てくる、ってことだけ分かっててくれればいいです」


 ヴァーレアはそれだけ言って、話を切り上げた。

 ペルセとしても、詳しく話されても理解できない気しかしなかったので、この対応は素直にありがたかった。


「それで?わざわざ出てきて、何の用です?」

「ランちゃんは分かってるよね!?ボク、ペルセ様にめちゃめちゃ聞きたいことがあるんだよ!?」


 ヴァーレアは冷静なラウラと真逆で、何だかかなり興奮してる様子だ。


 聞きたいこと、と言われても、自分なんかが答えられる内容なのだろうか。

 ペルセが少し不安に思っていると、ヴァーレアはさらに言葉を続けた。


「姉様から話は聞いたけど、実際に会ってみて、ボクかなり驚いたよ!お母様、デメナ様が小さくなったのかと思うくらい似てるんだもん!!」


 自分が母親に似ている。十年の間で、何回か言われてきたことだ。何なら、母親と初めて会った時に、自分の顔と同じだと思ってしまったほどだった。


 それにしても、ヴァーレアはデメナを知っているのか。母親は魔界の中でも幹部という高い地位に就いているらしいので、それで知られてるのだろうか。


「…質問をするのは構いませんが、彼女も疲れてるでしょうし、程々にしなさい」

「そのつもりだけど…止められるかな…」

「長いと判断したら、強制中断させて、私の中に戻します」

「厳しい!!」


 ヴァーレアは抗議の声をあげる。

 契約を結んでる、とは言っているが、この感じだと完全にラウラが上位の契約なのだろうか。


 ラウラは壁に寄りかかり、ヴァーレアの方を見る。どうやら、立ち会うことにしたようだ。


 ペルセはひとまず、椅子に腰かけた。ずっと立ったままで質問に答えられるほど、体力は残っていない。


 ヴァーレアが唸っている。そんなにたくさん、質問があるのか。しばらく唸り、ヴァーレアはゆっくりと口を開いた。

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