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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第三章 人間界来訪

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留学の始まり

 ペルセはアモディエナが閉めてしまった扉を、しばらく見つめていた。扉の向こうには、もうアモディエナの気配も感じられない。


 話が終わったら、足早に帰ってしまったようだ。合理的な性格のアモディエナらしく、退くのも早い。


「…さて、と」


 学長の一声が、ペルセの意識を目の前の二人に戻した。しかし、その声に威圧感はない。


 学長は隣に座るラウラの方へと視線を向けた。


「ラウラ先生。この子を連れて、ご帰宅いただけますか?」

「へ?…し、しかし、私の仕事は…」

「講師としての急ぎの仕事がないのは分かっています。何でも先んじてこなしてくれるのは君のいいところですが、今回は最優先事項があるでしょう?」


 ラウラは学長にそう言われ、言葉を返すことができないようで、黙り込んだ。


 ーーーこの人、サトゥニアのような厳かさこそないが、誰かを引っ張るという点で共通している。

 ペルセは学長を見て、素直にそう思った。


「…承知しました」

「今日はそのまま退勤で構いません。その子に案内すべきことが、山のようにあるはずですから」

「それも…そうですね」


 学長は制服と学生証を紙袋の中に戻している。ラウラはそれを見つめたまま、ほとんど動いていない。


 ペルセはラウラをじっと見る。

 今日からしばらく、この人のもとで暮らすのか。


 ヴァーレアとは仲良くできそうだ。だが、ラウラとはこれから関係を築かなければならない。ペルセは心の中で、決意を新たにした。


「それでは、これをどうぞ」

「ありがとうございます」


 学長は紙袋をペルセに手渡してきた。ペルセはぎこちなくなりながらもそれを受け取り、素直に礼を言った。


 ーーー何だか、重みを感じる。学生証と制服一式しか入ってないのに、紙袋はスーツケースよりも重く感じた。


「では、行きましょうか」


 そう言うと、ラウラはゆっくりと立ち上がり、ペルセの方へと近寄ってきた。ペルセもそれに釣られるように立ち上がった。


「学長、失礼しました」

「うむ」


 ラウラのお辞儀に、学長は短く応えた。

 学長はゆっくりと、ペルセの方へと視線を向けた。


「…ペルセさん。これから三週間、楽しんでいってくださいね」

「はい!よろしくお願いします!!」


 学長に言われ、ペルセは元気よく返事をした。その様子を見て、ラウラは穏やかな表情を浮かべた。


 ラウラは扉を開き、そのまま学長室の外へと出ていった。ペルセもその後を追い、外へと出た。


 ーーーいよいよ、始まる。

 その事実が、ペルセの胸を躍らせた。

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