合格通知
ペルセはハイーラとマール、そしてクロニオスとデメナそれぞれに相談し、留学に申し込むことにした。
書類を出しにアモディエナの元へ行った時には、面と向かって「やはり、お前は来たか」と言われた。何だか、見透かされてるような気がして、少し冷や汗が出てきた。
そんなことがあって、およそ一ヶ月後。
アスティアノのハイーラの家に、書類が届いていた。
「ペルセちゃーん。あなた宛にお届けものよー」
「きたの!?」
玄関で書類を受け取ったハイーラが、リビングでのんびりしていたペルセの元に、封筒を持ってきた。
ペルセは勢いよく起き上がり、そちらへ視線を向ける。
子供である自分を名指しした郵便物なんて、今までほとんどない。心当たりがあるとしたら、留学の書類だけだった。
「早くちょうだい!」
「そう焦らないの」
ペルセは必死に手を伸ばし、封筒を受け取ろうとする。ハイーラはそれを優しく制し、机の上に封筒を置いた。
ペルセはその封筒を、勢いよく開ける。雑に開けたため、破れた紙の欠片が床にひらひらと落ちた。
封筒の中には、数枚の紙が入っていた。そこに書かれていたのは、留学時期やそれに伴う準備物のことだった。
そして、一際目立つ赤い文字で、『留学決定!』と書かれている紙があった。
「通った!!」
それを見て、ペルセは思わず大きな声をあげた。そして、思わず側にいたハイーラに抱きついた。
勢いが強かったのか、ハイーラは息を漏らしながら、ギリギリでペルセの体を受け止めた。
「やった!!やったよハイーラさん!!」
「うんうん、よかったわね」
ハイーラはそんなペルセの頭を、優しく撫でていた。
すると、家の奥の方からマールが姿を現した。
「も〜…騒がしいな〜…どうしたの〜…?」
目を擦っているし、髪もボサボサだ。
こんな昼間まで、ずっと寝ていたようだ。相変わらず、マイペースな人物だ。
「机の上を見なさい、この寝坊助」
ハイーラは若干つっけんどんにそう言うと、自身の顎で机を指した。マールは気怠そうにしつつも、素直にそちらへ視線を向けた。
マールの視界にも、留学決定の文字が入ったようで、静かに吐息を漏らした。
「お〜…通ったんだ〜…」
マールらしい、のんびりした反応だ。だが、その反応も、これが夢ではないことを認識させてくれた。
マールは机に近寄ると、封筒の中に入ってる書類を漁り始めた。
紙の擦れる音が、わずかにペルセの耳に入る。
「だったら〜…ちゃんと、確認すること確認しなきゃ、じゃないかな〜?」
マールはそう言いながら、数枚の書類を見せてきた。エストラでの暮らし方、集合予定、準備物、それぞれが書かれた書類だ。
「…はーい」
現実を見せられ、一気にペルセの感情は落ち着きを取り戻し、ハイーラの腕の中から離れた。
「言うタイミングあるでしょうよ、マール…」
「普段『物事後回しにするな』って言ってるのは誰だっけ〜」
「…るっさい」
確かに、ハイーラはいつもそんなことを言っている。まさか、それをマールから言われるとは思わなかった。
ハイーラも同じだったようで、気まずそうに目を逸らした。
確認しなければならないことがたくさんある。ペルセは、ハイーラやマールと共に、書類を確認し始めた。
留学の足音が、少しずつ近づいてきていたーーー。




