↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第二章 人間界との交流準備

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
175/281

ラウラとヴァーレア

 一方、魔界とは異なる世界、人間界。


 とある街の一角にある、一つの住居。窓からその家を覗くと、ゴミしか見えない。辛うじて家の外には溢れていないが、ゴミが家の外に出てき始めるのも、時間の問題に見える。


 その家の中も、足の踏み場もないほどにゴミで溢れている。そのゴミのせいで窓も塞がれており、昼間にも関わらず、屋内は薄暗い。


 ゴミの中身を見てみると、飲みかけのペットボトル、中身の入ってない食品トレー、使い古されたであろうグチャグチャの紙など。それらが全て、無造作に床へ捨てられている。


 そんな家の中に、積み上げられた何冊もの本で囲まれてるスペースがあった。そこには、一つの大きな学習机があり、机の上にも様々な書類と、実験器具が散乱している。


 その机の側に、一人の赤い修道士風の服を着た、銀髪を肩まで伸ばした若い女性が座っており、論文を真剣な表情で読んでいた。


「…なるほど。この著者の論文の理屈は、面白いですね。ただし、若干論理の飛躍があるのが気になりますが…」


 女性ーーーラウラは、静かに呟きながら、手元にある赤ペンを、論文の書かれた用紙へと走らせる。


 自分がどこに興味があり、どこに引っかかっているか。それを、流れるような動作でメモしていく。


 そうこうしているうちに、近くで明かりを灯していたランプの魔力が切れかかり、暗くなり始めてることに気付いた。ラウラは面倒そうに、ため息をついた。


「…やれやれ」


 ラウラは不満そうに、ランプに手をかざした。すると、魔力を補充されたランプは、再び明るく火を灯し始めた。これなら、論文を続けて読むことに支障はない。再び、論文の方へと視線を落とした。


「ラーンちゃーん!!」


 すると、頭の中にキンキンするような甲高い声が響き渡る。

 ーーー相変わらず、うるさい。不愉快ではないが、無視はできない。


 ラウラは顔を上げることなく、その眠そうな目を机の上に置いている卓上鏡に向けた。


 通常であれば、自身の顔を写すだけのその鏡に、ラウラの顔は写っていない。そこには、薄い赤紫の髪を背中まで伸ばし、立派な牛のような角を携えた、レオタード姿の悪魔の姿が写り込んでいる。


「…何か用ですか、ヴァーレア」


 ラウラはため息をつきながらも、即座に論文に視線を戻した。鏡の中のヴァーレアがショックを受けてるかもしれないが、どうでもよい。


「ひっどい!!姉様とのお話が終わったから、その報告に来たってのに!!」

「…家事代行の件ですか。研究には支障がないので入れるつもりはないと言ったはずですが」

「行政からも言われてるんだよ!?改善しないと、ここにいられなくなっちゃうんだよ!?」

「エストラの研究室に籠るだけです」

「あそこ家じゃないからね!?」


 ヴァーレアが姉と何かやり取りをしていたらしい。精神世界での出来事なので、ヴァーレア側が何を言っていたかは筒抜けだ。そのため、ラウラはさして興味がなく、視線を戻さないまま、ヴァーレアの相手をしていた。


 すると、ヴァーレアは自身をクールダウンさせるためか、ふぅと大きく息を吐いた。


「まぁ、とりあえず報告させてもらうよ。とりあえずこっち向いてくんない?結構情報量が多くて、ボクも半ば混乱してるんだ」

「…アナタが、混乱?」


 あのヴァーレアが混乱するほどとは。

 口調や性格は軽いが、非常に高い教養を持ち、ラウラの研究にも平気でついてこれるどころか、助力までできるヴァーレアほどの相手が、情報を処理しきれずに混乱しているというのか。


 その事実に、ラウラは顔を上げて論文から視線を外し、卓上鏡に写るヴァーレアの方へと目を向けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。