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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第一章 異世界での困りごと

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上司としての気遣い

 デメナ達がペルセと家族の時間を過ごした翌日。

 サトゥニアの町にある、幹部悪魔の仕事場にて。


 イアノがいつものように、アスティアノに住むペルセの第二の保護者、ハイーラとマールの元にペルセを送っていった。


「イアノさん」


 イアノがアスティアノから戻り、自身の別の仕事に取りかかろうとしたところを、デメナは呼び止めた。イアノはその声に、ゆっくりと振り向いた。


「何でしょうか?」

「この前のお手紙の件、少しお話聞かせていただけますか?」


 デメナがそう言うと、イアノはフリーズし、目を見開いた。


 イアノのことだ。自分の身内に関わる私的なことだからと、自分の中での優先順位をかなり下げているのだろう。でなければ、わざわざ手紙などという回りくどいことはせずに、直接魔力通話でかけてくるはずだ。


 デメナは、部下のことをよく知ってるつもりだった。


「…しかし、デメナ様にも優先すべき業務が…」

「少し、私の休憩に付き合ってくださいな。プライベートなことですし、お茶でも飲みながら、執務室で話しましょうか」


 デメナはそのまま椅子から立ち上がり、自身の執務室へと向かった。そこならば、普段は自分と、その直属の部下であるイアノしか出入りしない。

 イアノがプライベートで、あまり聞かれたくない話をするにはもってこいの場所だろう。


「…デメナ様…強引ですわ…」


 背後でイアノが呆れたようにため息をついている。しかし、観念したようにデメナについてきた。


 廊下をしばらく歩き、デメナの執務室の扉を開ける。

 嫌というほどに見慣れてる、合理性を追求した自分専用の執務室だ。


 後を追うように、イアノもその部屋に入ってきた。


「ゆっくり、お茶でも淹れましょうか」

「デ、デメナ様、それは私が…!」

「お気になさらず。今回、あなたを呼んだのは私ですから」


 デメナはそう言うと、執務室内にある給湯室で、茶葉を取り出した。


 急須に水と茶葉を入れ、自身の魔力を流し込み、一気に中を温める。普段ならイアノがやっているが、今回は自分が無理を言ったのだ。このくらいしなければ、筋が通せない。


 しばらく魔力を流し続けてると、急須が適温になった。専用の容器を取り出し、急須からお茶を注いだ。


 茶葉の良い匂いが漂い、デメナの鼻を刺激する。今日も、上手く作れたようだ。


「イアノさん、お待たせしました」


 淹れたお茶を、執務室のデスクで待っていたイアノの前に差し出す。普段と立場が逆で、少し新鮮ではある。


「…わざわざすみません」

「ふふっ、その謙虚さはアナタのいいところですよ」


 デメナはそう言うと、イアノの向かい側に座った。


 お互いが、お茶を軽くすする。それだけの行動で、イアノも心なしか少し落ち着いてきたように感じる。


「…さて、妹さん…ヴァーレアさんのお話、少々お聞かせいただけますか?」


 デメナは微笑みながら、目の前にいるイアノに穏やかに問いかけた。

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