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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第一章 異世界での困りごと

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家族の時間

 愛用してる黒のワンピースに着替え終わったペルセは、再び母と手を繋ぎ、家族の暮らす部屋へと向かう。


 サトゥニアの町、魔王の住まう館の一角にある、広い部屋。それが、デメナ達家族の家だった。


「ただいまー!」


 その部屋の扉を、元気よく開けた。扉が壁にぶつかる音が、どこか心地良い。


 その音に気付いたのか、ソファに腰掛けていた父・クロニオスが、顔だけこちらに向けてきた。


「あぁ、お帰り」

「うふふ、戻りましたよ、クロニオスさん」

「見たら分かるわ」


 父のぶっきらぼうな返事と、夫婦間の軽口の応酬。それも、いつものことだった。


 デメナはクスクス笑いながら、ペルセからそっと手を離した。


「さ、ではご飯にしましょうか」

「うん!お腹すいたー」


 デメナはそう言いながら、台所へと向かった。


 ご飯。大好きな母お手製の、ご飯。

 ペルセはウキウキしながら、食卓へと向かう。


「ったく…ちったぁ落ち着け、ペルセ」


 クロニオスは呆れたようにそう言った。だが、その声は極めて優しいものだった。

 そして、そのままペルセの向かい側に腰掛けた。


「はい、どうぞ」


 ペルセがワクワクしながら待っていると、デメナが大皿に乗った肉野菜炒めと、お碗に入った白飯を持ってきた。

 炒められた野菜と、お肉のいい匂いが、ペルセの鼻腔をくすぐり、思わず唾を飲み込んだ。


「いっただっきまーす!!」


 ペルセはそう言いながら、早速母の手料理に箸をのばした。そして、大皿から肉野菜炒めを取り、自身の口へと運ぶ。


 ーーーやっぱり、美味しい。

 ハイーラの料理ももちろん美味しいのだが、デメナの料理は方向の違う美味しさだ。


「おいデメナ、これだけしかねぇのか?」

「もちろん、アナタには別で用意していますよ」


 クロニオスは肉野菜炒めを豪快に食べながら、デメナに尋ねる。それに対し、デメナは追加で、クロニオス用の大きなステーキを持ってきた。


 確かに、クロニオスは毎回ビックリするほどに多量に食べる。ペルセが最初、クロニオスの食事量を見た時は、大層驚いたものだ。

 今では慣れてしまったが、それでも毎回目を疑ってしまう。


「お父さん、ホントによく食べるよね」

「…まぁな」


 だからこそ、ペルセも思わずそう呟いてしまった。それに対し、クロニオスは少し気まずそうにしながらも、ステーキを頬張っている。


「ふふっ…昔からですよ」


 デメナはそう言いながら、クロニオスの隣に腰かけ、食事をし始めた。豪快に食べるクロニオスとは真逆で、優雅に食べている。

 本当に、真逆な夫婦だ。


「それで、今日の鍛錬はどうだったんだ?」

「今日は一人での鍛錬で、途中からお母さんが合流したんだけど…」


 クロニオスから聞かれ、ペルセは素直に今日の成果を語り始めた。それを、クロニオスは遮ることなく、穏やかに聞いてくれた。

 そんな二人のやりとりを、デメナは穏やかに見守っている。


 すると、玄関の方から、何か紙が差し込まれたかのような音が聞こえた。その音に反応して、クロニオスとデメナは玄関へと視線を向けた。


「…何だ、郵便物か?」

「確認してみます」


 デメナは立ち上がり、玄関の方へと向かう。


 クロニオスもデメナも、魔界の幹部だ。郵便物一つとっても、魔界の重大案件である場合もある。だからこそ、こうやって家族の時間を過ごしてても、郵便物の確認だけは怠らないのだ。


 家族の時間を中断させられ、少し不満ではあったが、仕方の無いものだと割り切るしかなかった。


「で、どんな手紙だったの?」

「そう焦らないでください」


 席に戻ってきたデメナは、封筒を開き、手紙の中身を確認し始めた。

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