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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第二部 第一章 異世界での困りごと

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鍛錬後の平穏

 魔界最上位、サトゥニアの町。


 今日も、黒い道着を着た桃色の髪の少女が、その町中にある訓練場で、己を磨いていた。


「ふぅ…」


 少女ーーーペルセは一通りの鍛錬を終え、汗を拭う。


 今日も、いい鍛錬だった。シャワーでも浴びに行こう。

 そう思い、ペルセは訓練場から出ようと動き出した。


「お疲れ様です、ペルセさん」


 すると、後ろから声をかけられる。その声に反応して振り向くと、そこにはペルセの母・デメナが立っていた。


「あ、お母さん」

「ふふっ…大分、様になってきましたね」


 デメナはそう言いながら、飲み物の入ったボトルをペルセの前に差し出してきた。


「ありがとう!」


 ペルセは無邪気に笑いながら、そのボトルを受け取り、一口飲んだ。


 ーーー冷たくて美味しい。これがペルセにとって、毎鍛錬後のささやかな楽しみでもあった。


「シャワーを浴びたら、ご飯にしましょうか。今日は、こちらに泊まるのでしょう?」

「うん!」


 デメナはそう言いながら、優しく微笑んでくる。


 ペルセは、うれしくなった。ハイーラの作るご飯が大好きだが、それに負けないくらい、母のご飯も大好きだったからだ。


「お母さん、今日のご飯は何?」

「今日は、肉野菜炒めですよ」

「わーい!!」


 ペルセは母と手を繋ぎ、浴室に向かうため、着替えを持って訓練場を出た。


 何回見ても、薄暗い廊下だ。来たばかりの頃は、少し怖かった。でも、今ではすっかり慣れてしまった。ましてや、今は隣に母もいる。


 ーーー全く、怖くない。


「じゃあ、また後で!」

「えぇ。急がなくていいですからね」


 浴室の前に到着すると、デメナに見送られながら、そのまま軽やかな足取りで中に入った。


 脱衣場で、着ていた道着を脱いで、洗濯機の中に入れる。あとから、アモディエナの部下が回収してくれるらしい。


「ふんふーん」


 ペルセはそのまま、シャワーブースへと向かった。


 今までも、何度も使ってきたシャワーだ。ペルセは、慣れた手つきでシャワーの蛇口をひねる。すると、ペルセの頭上から、シャワーの温水が雨のように振り注がれた。


「…ふぅ…」


 その温水は、ペルセの身体にまとわりつく汗を、少しずつ洗い流していく。


 ーーー思えば、ダスノムから出てきたばかりの時は、シャワーの使い方も分からず、外にいた悪魔に使い方から聞いたものだ。


 今では、誰にも聞くことなく、扱うことができるようになっている。


 ふと、ペルセはそんなことを思っていた。


「ん…」


 しばらくシャワーを浴びた後、蛇口を捻って止める。シャワーヘッドや、自身の髪先から水滴の落ちる音が、静かなシャワーブースに響く。


 ペルセは濡れた髪を指で軽く梳かしながら、脱衣場へと戻り、あらかじめ備え付けられているバスタオルへと手をかけた。


「お母さんと、ご飯…ふふっ…」


 未だに、家族との食事が楽しみで仕方ない。タオルの中で、ペルセは静かに微笑んでいた。

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