ベリアスへの電車移動
ペルセは電車の座席に腰を下ろした。駅の椅子と違い、ふかふかしている。びっくりするほどに、お尻が座席に沈んだ。
「うぉぅ…」
少し、バランスを崩しそうになる。だが、座席がすぐに反発してきて、いい具合に自分の体を受け止めてくれている。のを感じた。
「間もなく発車します。ドアが閉まります」
車内に聞こえる無機質なアナウンスと同時に、電車のドアが閉められた。
そして、一瞬の間を置き、電車がゆっくりと発進し始める。
「ん…」
ペルセはふと、車窓に目を向けた。電車が動いていくことに伴い、次第に見える風景が移り変わっていく。
先程まで眼下に見えていたアスティアノの町並みは、ものの数分で見えなくなってしまう。移動していくにつれ、段々建物が少なくなっていっていた。
しかし、そんな寂しくなった光景の中にも、一際目立つものがあった。
「あれ、何だろう…。あんなの、初めて見た」
電車がアスティアノの町を抜け、自然や荒れ地が広がる中に、建設途中の建物があった。まだ骨組みしか造られていないが、かなり大きな建物のようだ。
作業着を着た悪魔達が、忙しなく動き回っているのが見える。アスティアノの町の外にも、何か造られているのだろうか。いつかこの建物が完成したら、また暮らしが便利になるのだろうか。
「何になるんだろうな〜…」
完成するのは、数年後かもしれない。だが、もし完成して、そこが楽しそうな場所だったら、行ってみるのもいいかもしれない。まだ見ぬ施設を想像し、ペルセは小さく笑った。
「間もなく、ベリアス東部駅。ベリアス東部駅です」
しばらくすると、再び無機質なアナウンスが車内に響いた。
もう、ベリアスに着いたのか。時計を確認しても、15分も経っていない。電車とは、こんなに速いものなのか。
車窓に視線を戻すと、そこには大規模な都市の光景が広がっていた。
大きくて高い建物がいくつも建っており、魔界の空が見えにくいほどだ。
「…すっご…」
ペルセは思わず、絶句してしまった。
アスティアノの中にも、高い建物や大きい屋敷がある都市区画があると聞いたことはあるし、実際にイアノにお呼ばれしたこともある。
特に、イアノの暮らす屋敷に行ったときは、周りにある建物もそうだったが、屋敷そのものが大きいうえに広すぎて、かなり驚いたものだ。
だが、目の前に広がるベリアス東部駅の光景は、そんなアスティアノの都市区画にも負けないほどに、栄えてそうな都市だった。
「ベリアス東部駅です。ご乗車、ありがとうございました」
そのアナウンスと共に、電車のドアが開かれ、車内にいた悪魔がゾロゾロと電車を降りていく。
そしてその後に、電車に新たな客が乗ってきた。見てみると、スーツを着た悪魔が多い。仕事かでどこかに行くのだろうか。
「間もなく発車します。閉まるドアにご注意ください」
そして、再び聞こえる無機質なアナウンスと共に、電車のドアが閉じられた。




