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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第一部 最終章 最底辺の悪魔は世界を見る

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アスティアノの文明開化

 しばらく歩くと、目的地の施設の前に到着した。


 ーーー大きい建物だ。首が痛くなるほどに見上げないと、全貌が見えないくらいには、立派な建物である。

 建物の看板には、大きく目立つ文字で、「アスティアノ西部駅」と書かれている。


 その左右を見ると、空中に線路が走っているのが見える。まるで、アスティアノの町を横断するかのように、遠くまで伸びていた。


「…ここが…新しくできた…駅…」


 ペルセは思わず圧倒されてしまう。

 遠くから見たことなら今までもあったが、近くで見るとこれほど違うものなのか。


 少しの時間、駅の前で立ち尽くしていると、頭上から電車の発進音が聞こえてきた。

 音のする方へ目を向けると、ゴトン、ゴトンと、空中にある駅のホームから、藍色の電車が出ていくのが見えた。


 あの電車も、ここ10年で一気に開発が進められた、変革の象徴とも言える存在で、今までのアスティアノにはなかったらしい。少なくとも、ハイーラはそう言っていた。


 だが、今のペルセにとって、そんなことはどうでもよかった。


「あ…行っちゃった…」


 電車を一本、逃してしまった。次の電車が来るまで、少し待たなければならない。


 とはいえ、特に急いでいるわけではない。ペルセはのんびりと、駅構内へと歩き出した。


 構内には、先程行ってしまった電車に乗ってきたのか、ペルセの前から何名かの悪魔達が歩いてくる。その肩には、大きなカバンがあった。


「ここが、アスティアノか…」

「やっぱり、すごく魔力が充満してて、心地良いな…」

「今日は楽しむぞー!」


 すれ違いざまに、そんなやり取りが聞こえてくる。余所から来た悪魔達だろうか。以前は、こんな光景もあまり見なかった気がする。


 ペルセはそんな悪魔達を尻目に、駅員のいる受付へと向かった。そこには、一人の駅員がいた。


「ん?お嬢ちゃん一人かい?…どうしたのかな?」

「切符って、どこで買えますか?」


 ペルセが従業員にそう伝えると、相手は優しく微笑んだ。そして、ペルセの左後方を、手で指し示した。


「あそこにある機械で買って、改札に通してくれればいいよ」


 駅員にそう言われ、ペルセはその方向を向いた。そこには、無骨な機械があった。ペルセと同様に、切符を買っている悪魔も、ちらほらいる。


「ありがとうございます」


 ペルセは軽く頭を下げると、切符売り場の方へと向かう。歩きながら、懐から財布を取り出した。


「えーっと…ダスノム工業都市前駅までだから…これか」


 空いている機械の前に陣取り、操作に戸惑いつつも、何とか切符を購入できた。画面表示もかなり単純で、分かりやすいものだったのが、救いだった。


 機械音と共に、無機質な切符が吐き出された。そこには、丁寧な文字で「アスティアノ西部駅発、ダスノム工業都市前駅着」と書かれている。


 あとは、これを改札に通すのみだ。

 ペルセは切符を片手に、駅構内を移動する。


 ペルセの前方を歩く悪魔が、自身の持つ切符を入れると、改札の扉が開く。そして、扉の先で、切符を受け取っている。


 ーーー自分がここに来た時のアスティアノでは、まず見なかったであろう、機械的な光景だ。


「…何だか、変わったよねぇ…」


 ペルセはそうつぶやきながら、改札に切符を通し、駅のホームへと向かうために階段を登っていった。

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