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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第一部 第五章 ダスノム改善とその歪み
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宴の始まり

 皆の目が、玉座に座るサトゥニアの方へと向けられた。先程騒いでいたサブリナでさえ、静かにサトゥニアを見ている。


「待たせて済まなかった。この会食は、イアノがどうしても、ということで、ゴエティフス家総出で企画してくれたものだ。イアノ、なにか一言あるか?」


 サトゥニアは座ったままそれだけ言うと、口をつぐむ。その隣に、イアノがいつの間にか立っている。


 イアノは辺りを見回しながら、静かに発言を始めた。


「…今回の反乱…首謀者は、ゴエティフス家の幹部だった者ですわ。ならば、ここにいる皆様に迷惑をかけた詫びを、私達が行うのが、筋というものですわ」


 イアノはそこまで言い切ると、しかめていた表情を一気に緩めた。一息つき、再び口を開いた。


「…と、まぁそれは建前ですわ。ゴエティフス家専属シェフが存分に腕を振るった、自慢の逸品。存分にお楽しみくださいませ」


 イアノはそう言うと、飲み物の入ったグラスを持ち上げた。


 一体、何なのか。周りを見ると、デメナとマールがグラスを持っている。


「ペルセちゃん!グラス、グラス!とりあえずそれ持ち上げて!」


 ハイーラが横から声をかけてきた。

 わけも分からず、ペルセは素直に、近くにあったジュース入りのグラスを持ち上げた。


「それでは皆様、乾杯ですわ!」

「かんぱーーーい!!」


 イアノは高々とグラスを掲げた。その掛け声とともに、周りの悪魔達がそれぞれ声を張り上げた。


 だが、ペルセには分からない。

 周りの悪魔達が、お互いのグラスを軽くぶつけ合ってるように見える。


 ペルセがオロオロしながらその光景を見ていると、マールが近寄ってきた。


「ペルセ〜、お疲れ様〜」

「マールさん…あの、これって…?」


 マールはペルセの戸惑いに気付いていないかのように、ペルセのグラスに自身のグラスを当ててきた。


 すると、ハイーラもマールのグラスに、自身のグラスを軽く当てた。


「これは…乾杯ね。まぁ…ここから宴の始まりだー、っていう宣言のようなものよ」

「宴…」


 ハイーラの言葉を受け、辺りを見回すと、確かに席に座る悪魔達が各々、好きに飲み食いしてる様子が目に入る。


 サトゥニアは上品に肉を切り分け、一口で大きな肉の欠片を食べ切っていた。

 サブリナは素手で肉を掴み、直接齧り付いて頬張っている。

 その隣で、アモディエナが少しずつ、出された飲み物を飲んでいた。


 ーーー皆、それぞれのやり方で、机のうえに並んでいる食料を堪能しているようだった。


「ペルセさん」


 そう声をかけられて振り返ると、そこにはグラスを両手で持ったデメナの姿があった。


「お母さん…」

「乾杯、ですよ」

「あ、うん…」


 ペルセは戸惑いつつ、デメナのグラスに自分のグラスを当てた。

 デメナはそれを見て嬉しそうに微笑むと、グラスの中を少し口に含んだ。ペルセもそれに釣られるように、グラスの中のジュースを口に運んだ。


「…美味しい」


 完全に無意識だった。

 思わず、そんな言葉が漏れ出るほどに。


 ーーー甘くて、とても美味しい。

 今まで飲んできたジュースとは、また違ったおいしさだった。


「ふふっ…よかったですね、ペルセさん」


 デメナがペルセの頭を優しく撫でる。


 その直後、ペルセの眼前に、大きな鶏の丸焼きが勢いよく置かれた。

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