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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第一部 第五章 ダスノム改善とその歪み
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サブリナとの初遭遇

 ペルセが呆然としながら辺りを見回していると、ふと一人の悪魔と目が合った。


 自分とは面識がない、女性の悪魔だ。ヤギのような巻き角が頭から生えており、机の上から見える上半身は露出度が高い。


 ーーーあんな悪魔、サトゥニアにいただろうか。


 そう思いながら見つめていると、その悪魔が、通りすがった父・クロニオスに声をかけた。


「おい、クロニオス。あの小娘が、貴様の娘か?」


 クロニオスへの態度が、随分と馴れ馴れしい。だが、クロニオスはそれを注意するでもなく、少し嫌そうな顔を浮かべるだけだった。


「そうだ。…サブリナ、お前まさか気になるのか?」

「当たり前じゃ。貴様のような脳筋の娘じゃぞ?」

「俺が脳筋なのは否定しないが、お前も大概だからな?」


 クロニオスの言葉に、サブリナと呼ばれた女はカラカラと笑うだけだった。


 お互い、遠慮のない軽口をたたいている。だが、デメナ相手にする時とは、何かが違う。


 夫婦ではなく、ハイーラやマールのような、長年の友人、というものだろうか。男女であっても、そういう関係になれるものなのか、とペルセは感心していた。


「しかし…なるほど…。貴様が可愛がるのも、分かる気がするのう」

「何だよ」


 一人で納得してる様子のサブリナに、クロニオスは不愉快そうだった。眉間にシワを寄せ、サブリナを睨んでいる。


「いやぁ?一目でデメナの子だと分かる。丸っきり、小さいデメナのようじゃな!」


 サブリナはそう言って、高らかに笑い始めた。

 聞き耳を立ててなくても、丸聞こえなほどの、大きな声だ。何だか、少し恥ずかしくなり、ペルセは顔をそらした。


 だが、サブリナの話し声は、まだ聞こえてきた。


「…そう恥ずかしがるな、クロニオス。貴様にとっては、妻にそっくりな娘も帰ってきて、妻も立ち直って、両手に花、というやつじゃろ?」

「サブリナ、その辺にしといてやれ」


 からかうように言い続けるサブリナに、隣に座っていたアモディエナが声をかける。


 サブリナは軽く唸ったようだが、クロニオスが移動してしまったこともあり、それ以上は何も言わなかった。


 一体なんだったのだろう。ペルセは不思議そうに首を傾げていた。


 すると、隣の席にデメナがゆっくりと座ってきた。


「全く、相変わらずサブリナさんにはデリカシーがありませんね」

「あ、お母さん!」


 その声に、ペルセもハイーラも、そしてマールもデメナの方へと顔を向けた。デメナは微笑みながら、軽く会釈をした。


「サブリナさんは昔から取り繕うことを知らない方ですからね。悪い方ではありませんが、いかんせん…」


 デメナはそう言いながら、困ったように笑っている。だが、そんな表情でありながら、内心から見える感情は、極めて穏やかなものだった。


 サブリナはクロニオスだけでなく、デメナとも付き合いが長い悪魔のようだ。


「あんな悪魔もいるんだねー…」

「まあ…サブリナさんは、特別ですよ」


 ペルセの何気ないぼやきに、デメナが呆れたように答えた。


 すると、会食の準備が完了したようで、サトゥニアが手を叩き、大きな音を出した。

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