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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第一部 第五章 ダスノム改善とその歪み
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母の待ち望んだ帰還

 サトゥニアの町の、王宮の応接間。

 王宮に入るときに皆が通る、エントランスだ。


 そこの中心部に、青い転送陣が敷かれている。


「…イアノさん…ペルセさん…無事で…いてください…」


 その転送陣の前で、デメナは祈りを捧げていた。


 つい十分程前。

 かつてペルセがアスティアノで起こした魔力災害と同様の反応が、局所的ではあったが検知された。


 それはすなわち、ペルセに危険が及んだ、ということを意味していた。

 クロニオスは直ちに、サブリナの配下で武闘派一家の当主・キマエを現場に派遣した。 


 その後、どうなったのかは分からない。

 ただ、娘が無事でいて欲しい。それだけが、母の願いだった。


 祈っていると、眼前にある転送陣が、蒼く光り出した。


 ーーー来る。

 デメナは、勢いよく立ち上がる。その瞬間、転送陣から強い光が放たれた。


 眩しさで、思わず目を閉じる。

 しかし、それも一瞬のことだった。


 目を開くと、そこには待ち望んでいた集団がいた。


 キマエ、オロナ、イアノ、ハイーラ、マール…そして、愛娘のペルセ。

 やっと、帰ってきてくれた。デメナは安堵した。


 しかし、状況が掴めない。

 キマエは両腕にマールとハイーラを抱えてるし、その二人は顔面に大きな怪我をしてるように見える。

 マルス家に仕える軍馬であるオロナにはイアノが跨っており、その前方にペルセがいて、ペルセは完全に、イアノに背を預けて寝ている。


 とにもかくにも、やるべきことは一つだった。


「…医務室に向かいましょう。キマエさん、オロナはキマエさんが馬小屋に連れて行ってくださいますか?」

「分かりました」


 キマエは二人の淫魔を下ろし、さらにはオロナから降りるイアノもペルセごと支えてみせた。


「ありがとうございます」

「気にするな。イアノ、報告は任せるぞ」

「えぇ、分かってますの」


 イアノはキマエを見つめ、深く頷いた。

 キマエはそれを見た後、オロナを伴って、王宮から出ていった。


「じゃあ、行きましょうか」


 それを見送り、その場にいた全員で医務室へと移動を始めた。


 デメナは医務室へと歩みを進めながら、ついてきている面々の状態を確認してみることにした。


 ハイーラとマールは、歩けてこそいるが、顔に酷い殴打痕がついている。特にハイーラは、鼻が完全に折れていて、酷い有様だ。


 イアノとペルセには、目立つ外傷はない。しかし、双方疲労が目立っているように見える。特に、ペルセが顕著だった。


 そうこうしているうちに、医務室へと到着する。といっても、専属の医者がいるわけではなく、治療用の薬品や魔力機材が揃ってるだけの、簡素な部屋だ。


「イアノさん。とりあえず、ペルセさんをそこのベッドに」

「はい」


 デメナの指示で、イアノは医務室内のベッドに、ペルセを寝かせる。


「いったたたた…!!」

「痛い〜…」


 それと同時に、デメナはハイーラ達に傷薬を塗っていく。二人が痛みで悶えているが、これは治療のためのものだ。止めるつもりはない。

 骨の損傷については、さすがに医療系の技を持つ者を呼ばないといけないが、外傷の治癒だけならデメナにも可能だ。


 作業を終えたデメナは、ペルセの寝ているベッドの横に腰掛け、イアノ達の方へ視線を向けた。


「…さて…私が聞きたいことは、お分かりですね」


 一瞬、ペルセの方に視線が向く。一見気持ち良さそうな、娘の可愛い寝顔だ。だが、これはただの睡眠ではないことが明らかだ。


「イアノさん。報告をお願いします」

「かしこまりました」


 デメナの依頼に、イアノはその場でゆっくりと語り始めた。

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