表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第一部 第五章 ダスノム改善とその歪み
PR
124/134

制御された暴走

「…連れて行け」

「はっ」


 男達はそのまま、ハイーラ達を別室へと連れて行こうとしている。


 何で。

 何で。


 ハイーラが。マールが。

 一体何をしたというのか。


「まさか淫魔がいるとはな…」

「身ぐるみ剥がして…お楽しみといこうか…」


 男達の中にある、醜い欲望が、ボンヤリとではあるが伝わってくる。少なくとも、まともに扱う気がないことだけは、分かってしまう。


 やめて。

 …やめてよ。


 その手を、放して。

 傷付けないで。


 放して。

 その手をーーー


「放してよッ!!」


 もう、限界だった。


 その叫びと共に、ペルセの魔力が、大きく外へ漏れ出した。

 ハイーラの家の中で、ペルセの放つ白色の魔力の渦が、ペルセを取り囲んでいる。


 周りが何か言っている。驚いたようにざわついていた。しかし、ペルセの頭の中に浮かんでいたのは、鍛錬しているときのアモディエナの声だった。


『いいか、ペルセ。お前の魔力は、アスティアノを崩壊させかねない。原則、その魔力を鍛錬以外では出すな』


 アモディエナはあの時、眼鏡に手を添えながら、そう言っていた気がする。だが、そこに付け加え、もうひと言あった。


『だが、お前やお前の大切なものが危機に晒された場合は別だ。思う存分放って、守れ』


 その言葉が、ペルセの頭の中に響く。

 ーーーまさに、今がその時だ。


 ペルセはせめて周りに被害を出さないために、白い魔力を部屋の外へ漏れないよう制御する。


 何とか、イアノやハイーラ達が浴びないように向きを変える。鍛錬で試したことはあったが、実際に一人でやったのは初めてだった。


「これ、って…!?」

「あの時の〜…アンドレイスと戦った時のだね〜…」


 ハイーラとマールが、こちらを唖然とした様子で見ている。もしかして、前にも見たことがあるのか。ペルセにその記憶はなかった。


「なんだ…力が、抜ける…!?」

「魔力が、出せない…!?」


 男達が口々に声をあげている。

 アモディエナの言っていた通りだ。自分の魔力は、アスティアノの魔力を完全に封じ込めている。


「…デメナ様より鍛錬の成果は聞いておりましたが…これほどにまで技術が向上しているとは…!!」


 隣りにいるイアノも、驚きの声を出している。

 隠していたわけでもないが、イアノに鍛錬の成果を見せるのも大分久し振りな気がする。

 いつもなら、褒められて胸を張るところだ。だが、そんなことを言ってる場合ではない。


 ペルセは、ハイーラ達を連れて行こうとした男達へと目を向ける。


「ハイーラさんを…マールさんを…!!」


 ペルセは腕を振りかぶる。その動きに合わせ、白い魔力が大きな拳を形作る。


 直接的にぶつけてもよいが、それでは魔力が外に漏れる。少し手間はかかるが、この作った拳で殴る方がよいと思った。


「すごい…ペルセちゃん、ここまであの暴走魔力を自分のものに…!!」


 ハイーラも感嘆の声をあげている。だが、ペルセの耳には届かない。


 男達は、何が起きてるか分からないままで、こちらを見てきた。


「二人を…放せぇ…ッ!!」

「なぁっ…!?」


 ペルセはそのまま、魔力の拳を力任せに振るい抜き、男達へとぶつける。


 重い音が、家の中に響く。家の床が、大きく割れる音がした。


 それと同時に、ペルセは膝をついた。

 魔力が、一気に霧散し、放出が止まってしまう。


 ーーー疲れた。

 もう、限界だ。


 こんなに制御を維持することが大変だとは、思わなかった。もう、今はあんな真似をすることはできない。


 だが、ペルセは疲労した体を、無理やり動かす。二人の体温を、ペルセの体が求めていた。


「ハイーラさん…マールさん…!!」


 フラフラになりながら、ペルセは二人のもとへと近付いた。

 そして、縛られている二人へ抱き着いた。


「私…私、頑張ったよ…」


 すでに、息が荒い。肩で息をしている自覚もある。

 それでも二人を助けられたなら、それでいい。


 ペルセは、二人に笑顔を向けた。


「ペルセ、ちゃん…!!ありがとう…助かったわ…!」

「助かったよ〜」


 手が縛られているため、抱擁はできない。しかし、ハイーラもマールも、そんなペルセの頬へ、頬ずりをしてくる。


 血が滲んでいて、感触が少し気持ち悪い。でも、この上なく温かかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ