興味を持つ悪魔ーマールー
「え…?」
なぜ、あの騒ぎを知っているのか。
なぜ、自分のせいであると分かるのか。
相手のぼんやりしたような目つきで、全てを見抜かれている気がしてしまう。
?が頭を駆け巡る中で、再び間延びした声が耳に入った。
「…私、マール~。君の名前は~?」
「…ペルセ、だけど…」
もはやこちらの都合などお構いなしなのか、このマールという女。
というか、騒ぎの件を聞いたとして、自分をどうするつもりなのか。
---相手の意図が、まるで読めない。
「ペルセね~。ふ~ん」
マールは、こちらをじろじろと観察してくる。視線が顔から肩、腕、足へとゆっくり動いている。そんなに見て、何が分かるのだろうか。
「…やっぱり、さっきのは君がやったんでしょ~」
再度口を開くも、先程と内容は変わらず、しかし先程よりも納得いったかのような口調だった。
一体、何の話なのか。ペルセにはさっぱり分からなかった。
「なん、で…?」
「何でって…そりゃあ~…」
マールはそれだけ言うと、空に目を向けた。空を見て、何かを考えているようにも見える。
---少しして、首を横に倒しながら、ペルセの顔に視線を戻した。
「…あれだけの異質な魔力乱れの源、気付かないわけないよ~」
「乱れ…?」
どういうことだろうか。魔力乱れ?しかも異質?
目の前の悪魔が言っていることが、まるで分からない。
「…やっぱり、無自覚か~。まぁでも、そりゃあそうだよね~」
「な、なに…?一体、何の話をしているの!?」
こちらの混乱などお構いなしで、マールは
ここまで焦らされたら、最期まで聞きたい。
いや、聞いておかなければならない気さえしている。
---例え、この先を聞いたら後悔するものだとしても。
なぜそう考えていたのかは分からない。しかし、直感的にペルセはそう感じ、足を止め続けていた。
背筋に寒気を感じる、しかし、それでも動かなかった。
そんなペルセの内心を知ってか知らずか、マールは比較的間を置かずに、口を再度開いた。
「…一瞬だったけど、周りの魔力を相当にぐちゃぐちゃにしてたよ~」
「…え…?」
周りをぐちゃぐちゃに?一体どういうことなのか。もしや、部屋を壊したことだろうか。
呆然としていると、マールは気怠そうに、ペルセに背を向けた。
「立ってんの疲れたから、お家帰る~」
「え、ちょ、ここまで話しておいて!?」
あまりに突拍子もない発言に、一気に脱力し、バランスを崩してしまう。
本当に、このマールという相手、分からない。今までダスノムで相手してきた大人たちとは、全く違う部類の悪魔だ。
「でも~、キミのことは気に入ったよ~。行く当てないなら、私のとこに来る~?」
半身だけこちらを向きながら、マールはわずかに口角を上げていた。
その笑みに、先程の店で感じたような恐怖感は、全く感じなかった。
「いや…普通に知らない相手の家にあがることなんて、できないんだけど…」
「でも~、この話、こんな井戸端会議で済ますようなことでもないよ~?」
…そう言われてしまうと、気になってしまう。一体、マールが何を言おうとしていたのか。
だが、いくら何でも、こんな切っ掛けで他者の家にあがっていいものなのか。
「私は別にどっちでもいいけど~、話聞きたいならついてきて~。軽めの飲み物くらいならあるから~」
葛藤していると、マールはペルセの返事を待たず、先へ行ってしまった。
ただ、歩くペースは非常に遅いうえに、フラフラしていて危なっかしい。ちゃんと前を見ているのか、疑問の残る歩き方だ。
「ちょっと、待って!!」
ペルセは慌てて、マールの後を追いかけた。




