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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第一部 第五章 ダスノム改善とその歪み
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会見後の朝

 夜が明ける。

 アスティアノにあるハイーラ家の朝は、いつも通りドタバタだ。


「マール!!起きなさい!!」

「ん〜…もう朝〜…?」


 朝ご飯ができても起きてこない友人を、今日も叩き起こす。いつも通りのぐうたらぶりだ。


 マールはのそのそとベッドから這い出てくる。


 ーーー全く。

 ペルセですら、大分自分で起きてくるようになってきたと言うのに。


 今更矯正する気もないが、それでも少しはペルセの保護者として、子供のお手本になるような振る舞いを見せてほしい。


 マールがフラフラしながら食卓へ着席するまで見届けた後、自分も着席する。

 ハイーラの向かい側には、ペルセが座っていた。


「いただきまーす!!」


 元気良く、ペルセの挨拶が響く。それが、ハイーラ家の朝の風物詩になりつつあった。


 ペルセはその勢いのまま、ご飯を食べ始める。その表情は、本当に嬉しそうなものだった。

 毎回のように喜んでくれるので、ハイーラとしても作り甲斐があった。


 そんなペルセの笑顔を見てると、昨晩魔王サトゥニアが配信した会見が、ハイーラの頭を過る。


 ーーー三日前、突如サトゥニアからの公的通達があった。魔界全域に向け、魔力通話を用いた、視聴者参加型の会見を行う、と。


 それにも驚いたが、内容を知ってより驚いた。なぜなら、ダスノム環境改善政策について、というものだったからだ。


 そして、昨晩その会見が執り行われた。

 途中からではあったが、ハイーラもその会見を見ていた。


 魔王であるサトゥニアの口から、ダスノム改善の政策について説明がなされ、それに対する質問や意見、不安の声などが、リアルタイムで続々と出てくる会見だった。


 ハイーラも、全ては覚えていない。

 しかし、サトゥニアは一切誤魔化すことなく、出てきた質問や不安点などに正面から答えていた。それが、とても印象的だった。


 遅い時間までやっていたので、最後まで見届けることは叶わなかったが、少なくとも日付が変わるまではやっていた。


「…どうしたの〜?ペルセの顔に、なんかついてたりする?」


 隣に座るマールから声をかけられて、ハイーラは我に返る。


 いけない。

 ペルセの顔をじっと見つめながら考え事をしていたようだ。


「え!?なんかついてる!?」


 ペルセは焦りながら、ティッシュで自身の口の周りを拭き取り始めた。


 ペルセがここに来たばかりの頃は本当に、食べる度に口の周りが食べカスだらけになったりして、汚れていた。

 今でもそこは完璧ではないが、随分と綺麗な食べ方をしていて、大きく汚れたりすることは減っていた。


「昨日の会見のことを思い出してただけ。あんたどうせ見てないでしょ?」

「あ〜…あんなの、私が見てると思う〜?」

「…でしょうね…」


 思った通りだった。

 マールは、あの会見にも全く興味を示していない。仮に興味があったとしても、難しい話が飛び交っていたので、すぐに聞くのをやめてしまうだろう。


 だから、マールにそこを期待してはいない。だから、そこまで驚きもなかった。


「何でもいいけど、さっさ食べなさい。あんた、さっきから箸が進んでないわよ」

「え〜…」


 ハイーラはマールの右手を軽く叩く。

 それに少し不満げな顔をしながらも、マールは特に反抗してこない。

 ペルセはそんな二人の様子を見て、また嬉しそうに笑っていた。


 ーーーだが、三人は知らない。

 会見の裏で、静かに膨れる反発を。

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