表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第一部 第五章 ダスノム改善とその歪み
PR
114/145

改善への第一歩

 そこから、あっという間に数カ月の時が流れた。


 ペルセは変わらず、アスティアノにあるハイーラの家で、ハイーラ、マールの三人と平和に暮らしていた。

 時折、サトゥニアへ泊まりがけで鍛錬に行き、家族の時間も過ごせている。


 ここ最近、ペルセが笑ってることも増えた。それに釣られる形で、マールもよく笑うようになってる気がする。


 今日も今日とて、三人で買い物に来ている。マールとハイーラの間に、ペルセが挟まれており、二人と手を繋いで歩いていた。


「今日のご飯は何にしよっか〜」

「今日はお魚の気分!!」


 マールとペルセが、今日の晩御飯について相談している。ご飯を作るのは自分なのだが、そこに口を挟む気はなかった。


 魚のコーナーの方へ目を向けると、壁に貼られてる一枚のチラシが目に止まった。


『ダスノム復旧工事 人手募集中』


 そんなキャッチコピーの書かれた求人チラシだった。チラシには、工事現場で笑顔で働く男性の姿がデカデカと写っている。


 ペルセの育った場所が、改善されるのか。ゴミ山だったダスノムが、変わってきている。


 そう思うと、何だか目を離せなかった。


「あれ〜?ダスノムで工事やるんだ〜」


 マールもチラシの存在に気付いたようだ。その声に釣られて、ペルセもチラシを見る。


 何だか、ペルセは寂しそうな顔をしている。やはり、生まれ育った故郷が変えられるのは、複雑なのだろうか。


「…ペルセちゃん」

「良かった。やっと…変わるんだね」


 なんて声をかけようか困っていると、ペルセは口角を上げた。


 素直に変わることを喜んでいる。

 ただただ、嬉しそうに笑っているだけだった。


 最近のペルセの成長ぶりには、驚かされる。

 根が素直で、純粋だからこそなのだろうか。


 そんな中、チラシを見た周りの悪魔達の噂話も聞こえてくる。


「何あれ?ダスノム復旧?」

「あんな底辺を?そんなものにお金使うなんて…」

「噂だと、名家の方々が直々に動いてるらしいぞ…」

「マジか…。それだけ、本気なのかな…」


 ーーーやはり、まだダスノムを好意的に受け入れるような意見は少ない。だが、積極的に嫌っているわけではないようだ。


 とはいえ、陰口がこの程度で済んでいるだけ、まだ良い方だろう。過激な意見が出てくる前に、ペルセの手を引いた。


「魚が食べたいんでしょ?鮮魚コーナーはあっちよ」

「はーい」


 ハイーラが手を引っ張ると、ペルセは素直についてきた。この娘がダスノムの育ちなど、もはや誰が信じられるだろうか。

 こんなに純粋で、こんなに愛らしい、ただの少女が。ほんの数ヶ月前まで、ダスノムでゴミをあさって暮らしていたなど。


「ふんふんふーん」


 ペルセは腕を大きく振りながら、鼻歌を歌っている。手を繋いでいるため、ハイーラ達の腕も巻き込まれていた。


 ーーーでも、それを止める気もない。


 ペルセの心底楽しそうな表情を見ると、自分の腕を振られることなど、些細なことだった。


 マールも同じように、ペルセのことを穏やかな笑みで見守るだけだった。


 まさに、平穏だった。

 ーーーだが、裏では確実に、動いていた。


 そこに気付く者は、誰一人として存在しない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ