表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第一部 第五章 ダスノム改善とその歪み
PR
113/133

ダスノムの改善政策

 サトゥニアの玉座の間。


 そこの円卓に、5つの席が置かれている。


 一際大きな椅子に、魔王サトゥニアが座っている。

 そこから最も遠い席に、アモディエナが腰掛けていた。


「…アモディエナ。奴らはまだ来ないのか」

「魔王様。まだ定刻ではございません。ゆっくりお待ちいただければ、と」


 サトゥニアは焦る様子もなく、アモディエナに問う。

 アモディエナは普通に答えるが、サトゥニアの様子は変わらない。


 今日、デメナはペルセの処遇について、アスティアノの悪魔達と話し合う、と言っていた。あの母親のことだ、娘を想うあまり、また自分に辛い選択をしているだろう。


 後で説教の一つでもしてやらねばーーー。

 そう考えていると、玉座の間の入り口が開いた。


「すまない。遅くなった」

「時間には間に合ってますから大丈夫かと」


 そこには、クロニオスとデメナがいた。その表情は、晴々としていた。

 ペルセと再会できてから、というもの、二人の表情から明らかに強張りがなくなっている。

 長い付き合いだ。二人の変化など、嫌でも分かった。


「確かに定刻には間に合ってるが、あまり猶予はないぞ」

「まぁまぁ…そうピリピリしないでくださいよ、アモディエナさん」


 アモディエナは呆れたように、二人へ声をかけた。それに対し、デメナはこちらをたしなめてきた。


 お前のせいで言わされてんだ、という言葉を、飲み込んだ。それは今、ここで言うべきことではない。


 クロニオスはサトゥニアの右隣、デメナはアモディエナの隣に座った。幹部会議の、いつもの光景だ。


 ふと、クロニオスが自身の隣で、デメナの向かい側でもある椅子へと目を向けた。いつも、幹部会議のその席は空席だった。


「…おい、サトゥニア。『ヤツ』には話を通したのか?」

「察しろ」


 サトゥニアはクロニオスの問いに、手元の資料を見ながらぶっきらぼうに答えた。


 あぁ、やはり今日も空席か。予想通りだ。クロニオスも、それ以上深くは追及しなかった。


「…定刻になった。これより幹部会議を行う。…と言っても、今日の議題は、これまでの最終確認だ」


 サトゥニアはそう言うと、中央の空間に、魔力での文書を浮かび上がらせた。


 これまで何度も重ねた話し合いの記録。

 ペルセの一件があって以降、動き出した案件だ。


「ダスノムへの調査隊の派遣、及びそれに応じてダスノムの環境改善、再開発。そこに付属して、ベリアスの放置区域も開発する。ここまで、異論はないな?」


 サトゥニアの一言に、異論を唱える者はいなかった。

 すでに調査隊の編成まで完了しているのだ。ここで中止する方が、筋を通せなくなる。


「特にダスノムについては急務だ。まずは、ベリアスの都市部と同程度に、インフラや施設を整える。必要に応じて、人手を募集する」


 サトゥニアはそう言いながら、表示されている文書を一枚めくった。

 そこには、工事現場のような写真が載っている。

 写真に写っている者の中には、以前バルディ達が捕縛したキーアもいた。


「すでに、ダスノムに溜まっている廃棄物の処理は始めている。あと数日で完了予定だ。一先ず、サトゥニアの処理施設で全て処分した後、開発を行う」


 サトゥニアはそう言いながら、さらに一枚文書をめくる。その先には、工場地帯の写真が載っている。以前の会議で出た、ダスノム開発語の完成予想図だ。


「ダスノムについては、最終的に廃棄物の処理施設、そこに工場や研究施設が立ち並ぶような、工業都市として再生する」


 サトゥニアの言葉を聞き、アモディエナは提案者であるデメナの方を見る。

 デメナは満足そうに頷いていた。


「役割分担については、追って伝えるが…まずは、アモディエナ。貴様の方でダスノムの調査を進めてくれ」

「かしこまりました」


 アモディエナは軽く会釈で答える。

 すでに、その準備は整っている。今すぐにでも動かせる状況だ。


「…貴様らには、しばらく負担を強いることになる。だが、力を貸してもらうぞ」


 サトゥニアの決意が、言葉尻に滲んでいる。

 それを止める者は、この場にはいない。


 ーーーいよいよ、動き出す。

 アモディエナも含め、全員が。

 ダスノムの改善のために。


 この決断が、魔界を揺さぶることになろうとは、まだ誰も知らなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ