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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第一部 第四章 家族の絆
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実母対保護者

 30分後。


 面倒くさい、と渋るマールを何とか説得し、三人横並びで椅子に腰掛ける。

 ペルセだけは状況が分かっておらず、不思議そうに首を傾げていた。


「…よし、じゃあいくわよ」


 ハイーラは覚悟を決め、自身の魔力を練る。そして、その魔力を、先程分かったイアノの魔力につなげる。

 画面越しの魔力通話のために、必要な手順だ。


 しばらくすると、ハイーラ達の前の空間が揺らいだ。魔力の渦が回りながら、ドンドンと画面を形作る。

 その画面には、まだノイズが入っている。だが、それも次第になくなっていく。


「ん…これで、いいですわね」


 その向こう側には、画角を整えるイアノの顔が映っている。しばらく調節をした後、その顔は遠ざかっていった。


 そして、イアノが退いた先に、別の悪魔の顔が映り出す。


「あ、お母さんだ!!おかあさーん!!」


 それを見て、ペルセが嬉しそうに声を上げる。


 この方が、ペルセの母親なのか。


 ペルセの母・デメナ。娘と同じ髪の色で、ハーフアップの美しい女性だ。

 何よりーーーその顔が、写真で見た以上に、ペルセそっくりだった。


 デメナは娘の言葉に、静かに、しかし穏やかに笑みを浮かべ、手を振って応えた。


「す、すみません。ペルセちゃん、今からお話するんだから…」

「全く問題ありませんよ。むしろ、嬉しいものです」


 ハイーラは慌ててペルセを宥める。これから話をする相手は、自分よりも圧倒的に格上の、サトゥニアの幹部なのだから。

 決して、無礼があってはならない。


 しかし、デメナは全く気にしていないどころか、むしろ少し嬉しそうに笑っていた。


 ーーーやはり、母親だ。血のつながった家族。

 自分では、敵わない。

 否が応でも強く、そう感じてしまう。


「さて…ハイーラさんとマールさん、でしたね。娘がお世話になっています。ペルセの母の、デメナと申します」

「いっ…いえっ…!!」


 デメナは画面の向こう側で頭を下げる。

 その様子に、ハイーラは言葉を詰まらせた。


 自然と背筋が伸び、息が浅くなる。魔王であるサトゥニアと対峙したときとはまた違う緊張感だ。


「…ハイーラ〜、ちょっと落ち着きなよ〜?」

「無理よ!!つか何であんたはそんなに冷静なの!?」

「いや、緊張してても仕方ないし〜」


 対照的に、マールはむしろリラックスしている。画面越しであるため、多少だらけてもバレてない、とでも思ってるのだろうか。


 胸元までしか映さないようにして、正解だった。ハイーラはマールを見て、静かにホッとした。


「…今回お話したいことは、ペルセさんの拠点をどこにするか、ということについてです」


 言い合いが終わるのを見届けたデメナが、口を開く。その発言に、ハイーラはハッとする。


 ーーーついに、来た。

 この瞬間が、来てしまった。


 ハイーラはそう思い、先に口を開いた。


「私は…実の両親の元で暮らすのが一番いいと思います」


 その発言で、デメナとペルセが全く同じような顔でハイーラ達を見つめてきた。


 マールでさえも、信じられないものを見るような様子で、目を見開いていた。


「…なるほど」


 デメナは静かに頷く。


 キーアのように、身内を傷つける者も確かにいる。だが、傷付いたペルセがあれだけ甘え、はしゃげる相手が、ペルセを愛していない親なわけがない。


 こうするのが、丸く収まる。ハイーラは本気で、そう思っていた。だがーーー


「なんでそんなこと言っちゃうのさハイーラさん!?」


 沈黙を破ったのは、デメナでもマールでもない。


 今にも泣きそうな顔をした、ペルセだった。

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