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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第一部 第四章 家族の絆
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余韻

「…んん…っ…」


 朝を迎える。

 ペルセはベッドから起き上がる。


 昨日は、色々なことがあった。


 マールとこれからも一緒にいられる。

 実の親と会えた。

 抱き締められたし、抱っこもされた。

 そして、マール達と食卓を囲んで、幸せな食事ができた。


 こんなに幸せな一日が、今までにあっただろうか。

 そう思うと、胸の奥が熱くなった。


 ペルセは、ふと自身の頬をつねってみた。


「…いたっ…」


 小さな痛みが走る。ちゃんと痛かった。

 これは、夢ではない。

 昨日の出来事も。

 ママに会えたこと。

 パパに抱っこしてもらったこと。

 今、この場にいることも。


 ーーー現実なんだ。


 ペルセは頬を擦りながら、ベッドから立ち上がる。

 じんわりとした頬の痛みが、何だか嬉しい。思わず、口元が緩む。


 そのまま、風呂場へと向かう。昨晩、風呂に入らずに寝てしまったから、シャワーを浴びないと気持ちが悪くて仕方ない。


 こんな感情、ダスノムにいた頃には抱かなかった。


 すると、扉の隙間から、何かが見える。

 ハイーラが机に突っ伏して、寝ている。


 珍しい。

 いつもなら、自分が起き出す頃には、ハイーラは起き出して朝食を作っているはずだ。


 にも関わらず、目の前のハイーラは完全にダウンしている。


「ハイーラさん…?」


 嫌な予感がする。

 一体、何があったのか。ペルセは慌ててハイーラに駆け寄った。


「ハイーラさん!!大丈夫!?」

「…んんっ…」


 ペルセがハイーラの肩を揺する。すると、ハイーラはわずかに身じろぎをした。


 ハイーラはゆっくりと顔を上げる。その顔は、何だか赤く腫れぼったくなっていた。


「ちょっ…ハイーラさん!?その顔どうしたの!?」


 ペルセはその顔を見て、胸がざわめいた。

 ハイーラのそんな顔なんて見たことがない。


「…え?今、何時?」

「もう8時だよ!?」


 ハイーラはぼんやりとしていた。だが、ペルセの顔を見て、時間を告げられると、一気に顔色を変えた。


「は?…え、もう朝!?」

「そうだよ!!どうしちゃったのハイーラさん!?」


 ハイーラは瞼を擦りながら、慌てて立ち上がった。


「朝ご飯の準備しなくちゃ!!」


 そう言いながら、慌てて台所に向かおうとした。

 しかし、ハイーラの足が止まる。ペルセも、その先の光景に、目を丸くした。


 ーーーエプロン姿のマールが、台所から盆を持って現れた。

 その盆には、ご飯と味噌汁が三人分乗せられている。


「…あれ〜?やっと起きたんだ〜」


 マールは特に驚いた様子もなく、机のうえに配膳していく。それを、ハイーラもペルセも、何も言えずに見つめていた。


「も〜…ちゃんと布団で寝なさいって言ったのに〜…」


 マールは若干呆れてため息をつきつつ、ハイーラを見つめた。ハイーラはそれに対し、気まずそうに視線を逸らした。


 マールはそのまま、二人に背を向けた。


「とりあえずハイーラは顔を洗ってきて〜。ペルセも、シャワーを浴びようか〜。その後でご飯にするよ〜」


 それだけ言うと、マールは再び台所の奥へと消えてしまった。


 沈黙。

 少しの間、ペルセは動くことができなかった。


 ハイーラが完全に机で寝ていた。

 それを分かった上で、あのマールが、食事の準備をしていた。


 ーーー一体、どうしたのだろうか。


「…ほら、しゃんと動きなさい!」


 ハイーラがペルセの背中を叩いてきた。

 その痛みで、ペルセは我に返った。


 ペルセは慌てて、風呂場へと走り出した。

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