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最底辺の悪魔は世界を見る~ペルセの旅路~  作者: ルゥナ
第一部 第四章 家族の絆
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幸せのお裾分け

「どうしたの〜?」

「やっぱり、ペルセちゃんも嬉しいのよ。あんたがちゃんと、戻れたのが」


 不思議そうに首を傾げているマールに、ハイーラは特に気にした様子もなく返している。

 その間も、ハイーラは肉や野菜をゆっくりと食べている。だが、その一方でペルセは手を全く動かしていなかった。


 もちろん、マールのことも嬉しい。ちゃんと、一緒に住めるようになったのだから。

 でも、今日嬉しくなっていたのは、それだけが原因ではない。


「…それもある。けど…でも、今日、私もっと嬉しいことがあったんだよ!!」


 二人にも、この気持ちを聞いてほしい。

 ペルセは、勢いよく顔を上げた。


「ど、どうしたのよ?」

「あのね!あのね!私、今日お父さんとお母さんに会ったんだ!!」


 ハイーラが少し引き気味ではあったが、ペルセは気にせずに話した。


 その瞬間、ハイーラもマールも、持っていた箸を落とした。

 箸が容器にぶつかる音だけが、耳に入った。


 でも、そんなことでペルセは止まらなかった。


「でね!お母さんも泣きながら『会いたかったー』とか言いながら私を抱きしめてくれたし!お父さんも私を軽々と抱っこしてくれたし!あとね…!!」

「ちょ、ちょちょ、ちょっと待って!?」


 一気に話していると、途中でハイーラが止めに入った。


 まだ言いたいこともあるのに。最後まで聞きなさい、といつも言っているくせに。

 なぜ、止めるのか。少し、不満だった。ペルセはその不満を表に出すように、頬を膨らませていた。


「え、あなたいつの間に両親に会ったの!?親に会うならせめて一言ちょうだいって言ってたわよね!?」

「私もびっくりしたんだもん!!向こうからいきなり来ちゃったし!!」


 言われてから、ハイーラとの約束を思い出した。

 ただ、ペルセにしてみても、鍛錬後にいきなり両親が現れたのだから、どうしようもなかった。


 もちろん、ハイーラからも言われていた。両親が、ペルセを拒む可能性もある、と。

 でも、両親は拒むどころか、むしろ自分へ深い愛情を持ってることを感じ取れた。


 ーーーこんなの、嬉しくないわけがないのだ。


「…両親は、どんな感じだったの?」


 ハイーラは若干呆れたようにため息をつきつつ、ペルセに訪ねてきた。

 ペルセの表情は、ぱっと明るくなる。


「お母さんはとにかく優しくて!お父さんとも仲良しで!!それでね!私にそっくりな顔だった!!」


 興奮したように、ペルセは言葉を続ける。


「お父さんは、見た目はちょっと怖かったけど、優しく抱き上げてくれて!その腕は太くて、私の体を片腕で余裕で支えてくれてた!!」


 ペルセの言葉は、再び止まらなくなった。


 ハイーラ達にも聞いて欲しい。

 ずっと欲しかったものを、ようやく手に入れることができたことが、嬉しくてたまらない。


 その話を、ハイーラもマールも遮ることはなかった。はしゃいでいるペルセを、優しく見守るだけだった。


「あとね…。ママって言ったら、お母さんスゴく泣いちゃったし、パパって言ったらお父さん固まっちゃった」


 ペルセはそう言いながら、首を傾げた。

 その一言に、ハイーラ達は吹き出した。


「あっ、それ本当に言ったの!?」

「フフッ、メッチャ効いてる〜」


 ハイーラ達は肩を震わせながら、静かに笑っていた。


 そんなにおかしなことだったのか。ペルセは不思議そうに二人を見つめていた。


 ひとしきり笑った後に、ハイーラが息を整えながら、口を開いた。


「…そういうことなら、今日は特別ね。存分に食べなさい!」


 ハイーラは嬉しそうにしながら、ペルセの皿に肉や野菜を取り分けた。

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