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ビーストライダー・マガネ【鋼】  作者: 時波彷徨
2章07~ファイナルラップ~
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02_07_01

~イエローストーン・レース編~

 最終章になります。

 右手に流れていくウエストサム湖畔にはめもくれず、ウルフブラック、ビフはスピードを上げていった。


 針葉樹林帯からループロードに乗り上げた後、バイクモードで湖に沿った舗装路。不整地のコースで追い上げることが出来たオセロットシルバーと、ウルフピンク、そして、ウルフブラウンが、ロードコースに侵入したとき、ウルフブラック、ビフは驚くほど先にそのポジションを進めていた。


 ウルフブルーと、オセロットイエローがもみ合い、湖に飛ばされていったあと、その姿を確認できないままのオセロットシルバー、ティナは、一瞬躊躇するも、順位を落とすわけにはいかず、そのままロードコースへと侵入し、先に進んだウルフブラックの後を追った。


 アウトコースに大きくポジションを外したウルフピンクは、一時、ウルフブラウンに抜かれ、ロードコースに乗り入れることとなった。



 モニター情報では、事故ってもみ合った二機がリタイアになったという情報は届いていない。ということは、レースは継続中だということだ。


エンディの身を案じ、祈るような気持ちを胸に抱え、ウルフブラックの後を追うティナ。湖の湖畔を大きく半周するループロードは、湖畔の稜線に沿って曲がりくねってはいるが、先ほどのグランドループロードほどの急なカーブや勾配が存在しない。比較的ゆるやかで、平坦なトラックだ。しかし、スピードを上げて行くオセロットシルバー、ティナだが、同じく加速を維持しているウルフブラック、ビフの背中に間近に迫ることは無かった。


 前方を遮ることないコースを走破して、ついに、ウルフブラック、ビフは、ブリッジ・ベイ・キャンプグランドのゴールチェックにたどり着いた。ピットスペースから出てきたライアンが、ゴール近くでその様子を見つめる中、ウルフブラックビフは、一位でゴールレーザーを切り、クリアポイントとともにチェッカーフラッグを獲得した。


後続の各機体、モニター上に、一位で通過したウルフブラックのコールが表示された。


 身体の力を抜くように起こした上体に風を受けて走り去っていくビフに、軽く拍手をして、その様子をたたえるライアンは


「ロードコースでの、彼の走りは無敵だな…」


 とぽつりとつぶやいた。


レーンをまたいだ先から飛び出してくるレイチェル、テムジ、ユアンが、ループロードの先に大きく手を振って声援を送った。


 アスファルトの陽炎に揺られて、オセロットシルバーの銀色の機体が光り輝いている。その奥にはウルフブラウン、ピンクが続く。ウエストサム湖の光を受けて、オセロットシルバー、ティナは、最後の加速を見せて後方の二機に差をつけ、二着でゴールレーザーをクリアして走り去っていった。そして、その後ろにウルフブラウン、ウルフピンクと続き、それぞれのチームにクリアポイントが加算されていった。


 ゴールを切ったティナが、慣らし走行のままウエストサム湖のほとりに設置された外周用のコースに乗り入れた。前方にはウルフブラック、ビフが同じようにウイニングラン宜しく、マシンをゆっくり走らせていた。


 抜けなかった。


 マシンのせいか、ライダーのせいか、はたまたその両方か、バイクモードでの走行では、その差を縮めることはできなかった。ビフに劣るつもりはないティナだったが、今後のライダースキルを磨くことも心掛けないと、と、心にとどめ、ビフのその背中をじっと見つめた。


 ウルフブラウン、ベルは、背中にウルフピンク、カルラの気配を感じながら、後ろを振り返ることが出来なかった。


 途中の感情的な判断が、心に引っかかっている。


 ウエストサム湖に向かう途中で、カルラのスキルに嫉妬を感じたベル。それはそれとしても、今後も同じような考えに捕らわれれば、次のレースでも足をすくわれるかもしれない。


 そんなことを考えていると、後方からすいーっと、ウルフピンクが寄ってきた。

 ㇵっと、視線をそちらに送るベルが、肩越しに振り返り見ると、並んだウルフピンク、カルラがじっとベルをバイザー越しに見つめた。戸惑い、ちょっとドギマギとしたベルは、カルラの丸く大きな青い目から目を離せずにいると、カルラはベルにサムズアップして、


「お疲れさま!」


と言った。そして軽く手を上げるとカルラは、ウルフブラウン、ベルの後方に下がっていった。その姿を見送ったベルが、ほっと一息つくと、後方に走るウルフピンク、カルラに自分もサムズアップで応えた。


 それから、いくらか時間が過ぎた後、ウルフブルーと、オセロットイエローもゴールに到達した。

エリアポイントをゲットしていくと、次々とゴールしていくライダー達に手を振ってその健闘をたたえるレイチェル、ユアン、テムジ。

 ライアンコーチは、コースの先を見た。まぶしく輝く日の光を受けながら、オセロットグリーンがゴールに向かって走ってくる。


「アメフトライダーの御帰還だ」


 走るマガネの姿を見つめて、ライアン。その隣で、レイチェル、ユアン、テムジが大きく手を振り出迎えた。ガッツポーズでゴールレーザーを切ると、ポイントゲットのコールがモニタに現れた。

 オセロットグリーンの姿が、前方を走るライダーの後を追って、慣らし走行に入っていく。その背中を見送りながら、ライアンは、


「彼は、君の意思を継いだのかい?アルバレス…」


 とぽつりとつぶやいた。




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