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ウルフピンク・カルラは、オセロットグリーンが無事降下体制に入ったのを見ると、ワイヤをたゆませ、リンク解除のメッセージを送った。
マガネがそのメッセージにグッドボタンで返すと、ウルフピンクはアンカーワイヤーからその手を離した。アンカーワイヤーを回収するオセロットグリーンがウルフピンクに向かって、親指と小指を立てたままおおきく腕を上げた。
その様子を見上げるカルラ、マガネのサインを感謝のしるしと受け取って、軽く手を振り応じるとバイクモードに変形をして、ビフたちが向かったルートの後を追った。相手チームの危機を、ワイヤーアシストで救ったことがフェアプレイ認証されれば、先ほどのラフプライの失点も取り戻せるだろう。ビフにアシスト代を値引きさせるわけにはいかない。バックモニタでオセロットたちの様子をちらりと眺めながら、カルラはクリアラインに向かってオセロットピンクを走らせた。
「ちゃんと追いついてきなよ、オセロットシルバー」
カルラは向きなおると、ウエストサムの先に向かって、ウルフピンクを一気に加速させた。
オセロットグリーンを降下させながら、モニタに推奨ルートを表示させる。無理な走りをして、北に大きく迂回をしてしまったようだ。
「合流するエリアロートまで急行して、皆に追いつかなければ…」
マガネがルートの確認をしていると、マガネの降下地点を先回りするようにオセロットシルバーが走ってきた。迎えに来てくれた?と思わず大きく手を振るマガネ。
どうだ!俺のライドは!なかなかいい走りだったろう?
と胸を躍らせるマガネだったが、見上げるティナは、その様子をしり目にぐんぐんと前に加速して行く。あれ?と思ったマガネのモニタに、ティナからチャットメッセージが飛んできた。
推奨ルート確信!
リンクメッセージに添付。ティナがこちらに予定ルートの提案を行っているようだ。データリンクを開いて、内容を確認するマガネ。モニタ上にオセロットグリーンの位置Pinから推奨ルートが伸びていく。その光点と交わるように、ティナの光点が先行して森の中を突き抜けていく。カルラが向かったルートとは違う別のルートだ。
「針葉樹林帯をショートカットするつもりか?」
オセロットグリーンが地上に到達し、たたらを踏んでバランスをとると、ビーストモードにチェンジしてカルラが示したルートに向かって走り出した。慌ててティナに追いつこうとするマガネだったが、ティナは、そんなマガネに目もくれず、ぐんぐんと森の中を走っていく。一時だって無駄にできない。マガネはそんな無言の圧力をティナの背中から受けた。
「んにゃろううう!」
そのつれない姿にしかめっ面を浮かべてオセロットグリーンのスピードを一気に上げると、マガネは、全速力で駆け出し、ティナに追いつくと、スピードを合わせて並走した。
「やっと追いついたあ!」
とティナに向かって叫ぶと、オセロットグリーンのモニタ上にエリアクリアの文字がポップアップされ、マガネ達がウエストサム・クリークエリア入りしたことを告げた。
「おお!エリアクリアー!」
マガネが喜びモニタを確認するも、自分が最後尾であることに気づき、少し落ち込むマガネ。しかしクリアはクリアと気を取り直しで進んで行く。そんなマガネにお構いなく、オセロットシルバーを走らせるティナ。そんなティナを見て、マガネの顔が歪んでいく。
「んだよ!なんか、少しは、クリアやったねー!とかゴールまでがんばろうね!とか声かけてくれてもいいじゃん!」
と不満げに叫ぶマガネ。ティナは、肩越しにちらとマガネを一瞥すると、
「調子に乗らないで。先行したエンディは、ユニバースに囲まれたまんまよ!早く追いつかないと」
口早に告げて、プイっと前を向くティナが木々の間を縫って加速し、ワイヤーを射出すると、空中に一気に舞い上がっていった。あまりの機動の速さに一瞬茫然となるマガネ。たしかに、タイムロスを取り戻すこともそうだが、このままだと、エンディがユニバースの餌食になるかもしれない。慌てて気を取り直すと、
「わ!わかってる!」
とあわてて身を乗り出した。ルートを確認し、アンカーワイヤーを射出。木々の間を飛ぶように加速して、ティナに遅れまいとウエストサム・クリークエリアの巨大針葉樹林帯へとその身を滑り込ませていった。




