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ビーストライダー・マガネ【鋼】  作者: 時波彷徨
2章05~カイザーファウンテンエリア~
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「これで一機リタイア♪」


 見上げるウルフブラウン、ベルの視線の先に、落下していくオセロットイエローの姿。その落下軌道の先、モニタ上での予測軌道の先には、間欠泉の警告表示がみるみる広がっていった。

 口の端を上げて思わずつぶやくベルは、ふとモニタに目をやった。オセロットイエローの落ちていく先に向かって光点が一つ。

「ははーん」

 データリンクしたオセロットパールの機影が走っていく。

「こりゃ、二機ともリタイアかな?」


 考えるよりも先に飛び出してしまったカインの頭に、しまった!という思いがよぎる。

「ユニバースとのリンクを解除、一番近いレストポイントを検索!」

「了解」

 モニタが一瞬乱れると、オセロットの推奨ルートが表示される。逃げ込めそうなレストポイントが二つ。カインは最短距離をとるために、警告表示が膨らむエリアへ、バイクモードのまま突っ込んで行った。


「カイン!」

落下軌道に入ったエンディの目に オセロットパール、カインの姿が飛び込んでくる。

「馬鹿!来るな!カイン」

慌てるエンディ。噴き出す間欠泉をかわしながら走るカイン、その予測ルートがエンディのオセロットイエローにリンクされ、その先には三つのレストポイントが表示された。

候補のエリアを確認するや、カインがオセロットパールをビーストモードに変形させ、走りながらエンディのオセロットイエローに向かってアンカーを射出した。脇をかすめるアンカーワイヤーをつかんだその瞬間、カインのオセロットパールは、体を大きく傾けて、ウィンチを巻き上げながらエリアをバンクしていく。


 ぐん!とエンディのオセロットイエローは落下軌道を変化させた。その瞬間、エンディが降り立つはずだったエリアの間欠泉が、一斉に白いしぶきを上空に向かって噴き出した。

「うおおお!」

 うなりながら、空中で姿勢を反転させるエンディ。そのままワイヤーに引っ張られるように地上に向かって落ちていくと石灰岩の平地に落下して転がっていった。

「ぐうううう!」

 地面を転がり体制を立て直すオセロットイエローは、四本の足を踏ん張って、ビーストモードで跳ね上がると、間髪入れずに、モニタに表示された最短のレストポイントに向かって駆け出していく。そこにたどり着くまでのルートは、無数の警告表示に覆われていた。

「くそう!リタイアなんか冗談じゃねえよ!」

エンディは、次々跳ね上がる水しぶきを縫って駆け抜け、埋め尽くされていく警告表示にあおられながらひた走った。


水飛沫のカーテンが、エンディの目の前を覆いつくしていく。


 あきらめきれない思いで、オセロットイエローは盛り上がった岸壁を駆け上がるようにして高く舞い上がった。しかし、その前方は高く舞い上がる間欠泉の水しぶきで覆いつくされていた。


「くそう…ここまでか…」


 悔しい思いに思わず強く歯と目を食いしばった。


「エンディ!」

 振り向くエンディのすぐ後ろかに、飛び上がるオセロットパールが姿を表した。


「エンディ!足を!」


 とカインは叫ぶと、後方に回転して、自分の後ろ脚を、オセロットイエローに向けた。


「思い切り蹴って!」


 驚くエンディが、とっさに自分の後ろ脚をオセロットパールの足に乗せる。瞬間自分の蹴りだした足に、オセロットパールの蹴りだす力が加わり、オセロットイエローを空中に強く押し出した。


跳ね上がる機体が、高く舞い上がっていく感触がエンディを包んでいく。

高く舞い上がった水しぶきの上を、飛び越していくエンディの視界が開けると、モニタ上の警告表示の先に、レストポイントのマーカーが点滅した。


 届いて…


 手を伸ばすオセロットイエローが地面に達すると、転がるよう窪地にに滑り込んでいく。間髪入れずに後方のエリアが水しぶきで覆われていった。岩場と木片のはざまに、さかさまに収まったエンディの目の前が湯気で覆われた。


「た…助かった…」


 瞬間、ピーーー!と警告音が響き渡った。


 ハッ!として顔を上げるエンディ。モニタ上に表示されたオセロットパールの光点マーカーが点滅すると、その文字の上に「リタイア」の文字が重ねて表示された。




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