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ビーストライダー・マガネ【鋼】  作者: 時波彷徨
2章05~カイザーファウンテンエリア~
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「カイーン!」

 思わず叫ぶエンディ。その視界を間欠泉の水蒸気が舞い上がって一気に奪われていった。


「着地に失敗したか?」

 覗き込むクランだったが、水しぶきが邪魔をして先が見えない。

 しかし、リタイア表示が出ていないところを見ると、なんとかレストポイントにとどまっているようだ。

 モニタ上の推奨ルートは4機編成が基本なんだからな

「この程度でミスってんじゃねーぞ」

 うんざりするような口調で、クランは独り言ちた。


 しまった…


 エンディが下唇をかんだ。練習でのダートコースや高台での練習では、それほど感じなかったが、ロウワー滝以降から、ビーストライドを行うには困難になるほどには、カインは高さに関して恐怖を感じるようになっているのではないか?


 こんな時に、なんてこった…、


 リタイアの表示は、まだ、出ていない。しかし、カインの安全のことを思うなら、これ以上のビーストライドは続けるべきではないかもしれない。だったら、早めにカインにリタイアをうながしたほうがいいんじゃないか?


 チャットメッセージに目を走らせ、伝えるべき内容を考えるエンディ。


 その時、マップ上に先行するティナの機影が目についた。リンクされたデータから、追走するユニバースの二機の機体の正確なルートも表示される。第二ファウンテンエリアを抜けた先頭集団は、警告表示が広がる中、止まることなくファイヤーホール川に沿って下り、最後の第三ファウンテンエリア、フェイスフルファウンテンに向かって、歩を進めていた。


 足止めを食らっている自分たちのマーカーから遠ざる三機を見つめ、カインと自分はどうすべきなのか?と考えているエンディに、クランから、次のエリアの推奨ルートが送られてきた。四機編成での連携を続投、次回セッションで、ミスなくうまくいけば第二ファウンテンエリアを抜けるルート取りとなっている。


 次のエリアで追いつける!


 思わず前のめりになるエンディ。しかし、はっと気づき、カインをどうしようか…と考えが行ったり来たりさせていると、目の前にカインからのメッセージが送られてきた。


 送られてきた予定ルート確認した。ルート確保に向かう。


 どうやらカインは続行するつもりらしい。エンディは、ぐっと目を瞑ると、しばらく歯を食いしばった後で、メッセージの返信をした。


 こちらも確認した。予定ルート位置の確保に向かう。


 カインがやる気なら、自分もそれに乗っかるまでだ…、と、もやもやする気持ちを振り払うようにコースの先を見つめるエンディ。


「目の前の水飛沫が止んだら、ティナが辿ったルートをトレスして次のエリアで並んでやる」


 徐々に下がってくる水しぶきを見つめるエンディは、ハンドルを握る感触を確かめらながら飛び出すタイミングを計っていた。


「バイタルに疲労とは別の緊張や強張りが見られます。もし、精神的に過度なプレッシャーを感じているのであれば、これ以上のレース続行はお勧めいたしませんが如何しますか?カイン?」

 オセロットパールがカインに聞いてくる。カインは大きく深呼吸をして、モニタを見つめる。カイザーファウンテンエリアを抜ければ、ウェストサムのゴールまでは、ほぼロードレースコースになる。


 あと少し、もう少しだけ、


「サポートレベルを最高まで上げて構わないから、オセロット、お願い」

「技術点はほぼ獲得することが出来なくなりますが、それでもいいですか」

「エンディをサポートして、なんとか完走できるなら…、それでもいいんだ」

 カインがオセロットに告げると、オセロットはモニタ上に設定画面を表示して、サポートレベルと表示された項目を最高値まで変更した。ゲームで言えばイージーモード。ほぼオートドライビングでサポートを得るような状態になったということである。カインが設定画面の同意確認を取ると、オセロットパールは重心を低くして、構えなおした。


 モニター上でアクセスルートの再確認を行うカインは、ビフ達先頭集団が辿ったデータを再確認していた。

「ウルフィ!仮想ドライブからデータ挿入。ルートの再確認と予測パターンを表示」

「了解しました。データを重ねて、レストポイントの抽出を行います」

 残された第二ファウンテンエリアが拡大し、4機編成でのクリア条件が、点と線で結ばれて新たな候補がルートとしてはじき出される。クランはにやりと笑うと、ベルに向かって再リンクを施し、新たなルートを送信した。

 モニター上では、ビフとカルラがフェイスフルファウンテンエリアに向かってひた走っている。

 ここまでは順調にシナリオの想定範囲内で進んでいる。練習試合を利用して、新しく整備されたファイヤーホールコースのデータも取れた。クランが思案に暮れていると、するとベルからのメッセージが入った。それを確認すると、面白くもなさそうに顔を上げるクラン。


「レースの神様にご加護があらんことを」


 独り言ちながら、弱まっていく水しぶきを見つめていた。



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