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ビーストライダー・マガネ【鋼】  作者: 時波彷徨
2章05~カイザーファウンテンエリア~
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02_05_11

「え!ほんとに?」


 カインは、ウルフブルーから送られてきたデータリンク要請を見て目を丸くした。データを展開すると、ユニバース側の走破データと間欠泉位置、予想レストポイントのデータがモニター上に姿を現した。ウルフブラックとピンクの走行データや、最新の位置データも含まれている。


 ビーストライドの走破データは、基本、ペア、もしくはチーム間にのみ共有され、対戦相手とは共有されない。対戦相手に自分が走破するためのコース取りや、見通しや必要な連携など、戦略が筒抜けになれば、そのチームにとって不利になるためだ。


しかし、単体のペアやチームでの走破があまりにも困難な場合、敵同士であっても一時的に共闘することもよくある。その時、両者の許可があれば、お互いの走破データをマシンAI同士でリンクし、共有されることとなる。走破データはレースの勝敗の重要なカギになるため、手の内ともいえるデータの開示は慎重に検討するのが常である。通常、リンクの要請提案を受け入れた後で、同時に出すの場合が多いのだが、


 自分たちのデータを先に開示した。


 訝しむカインが、モニター上に展開されるユニバース側の位置データ、レストポイントの分配とその想定ルートを見つめながら、オセロットAIに尋ねた。

「オセロット。これって信じられるの?」

「クリアするためのテクニックは必要とされますが、提示されたレストポイントの配分と予想ルートから算出されるラップには問題ないと考えられます。


「でもさ!ユニバースに有利なコース取りになっていない?」

 レストポイントで身をひそめながら、エンディも同様にオセロットAIに身を乗り出して聞きなおした。

「ライドの条件でレストポイントの位置取りや手順などが変わった場合、誤差は生まれますが、先頭集団とのラップ差を縮めることを目的とした場合は、合理的なルート提案かと思われます」

 納得のいかないエンディがふくれっ面になって、コース提案を見つめる。


「さて?乗ってくれるかな?」

ぎりぎりレストポイントに収まっていたウルフブルー、クランは舞い上がる水しぶきを見つめながらこぼすと、ベルに向かってデータの追送信を行った。


 水飛沫で視界が覆われていく中、ウルフブラウン、ベルがたたずんでいる。ベルは記録データと4機走破でのレストポイント配分を見つめていると、クランから一斉送信されたラップ短縮予想のデータと、改めて送られてきたデータを重ねて確認し、自分が走るべきルートを頭に叩き込んでいた。


「でないと、ビフ達においつけないだろう?」


 クランが弱まっていく水しぶきを見つめながらつぶやく。あのオセロットパールとイエローにはデータを共有した。後は乗ってくるのを願うだけだ。ここまで攻めたライドをしたやつらなら、先頭集団とのラップ差が縮まる方法を鼻先にぶら下げられて、それを断る理由はない。


「奴らは、絶対乗ってくる」


 にやりと笑って、前方へ向き直るクランの視界に、ファウンテンエリアの地平が広がりつつあった。


 エンディはモニターを凝視していた。

 提案されたコースをなぞるなら、一番初めに自分が飛び出し、そして、続くユニバースのマシンと連携して、平地に広がる間欠泉を越えるための土台にならなければならない。


 あの忌々しいウルフブルーに手を貸すのか…。


 いらいらとして頭に血が上るのを感じながらも、もっといいアイデアが浮かぶわけでもない。

 白いカーテンが、徐々に下がっていくのを見つめながら、ジリジリとした焦りを感じるエンディ。


 どうする?どうする?


 自問自答するエンディのモニターに、カインからのチャットメッセージが表示された。


「リンク要請。ウルフブルーとブラウンとの協力を求む」


 観念したように目をつぶるエンディ。

「わかったよ!やってやる!」


 エンディは「協力要請承知した!オセロット!データリンク許可!」とイエローAIに命じると、モニターで示されたレストポイントへのルートを確認し、レストポイントの隙間から飛び出すタイミングを計り始めた。





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