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ビーストライダー・マガネ【鋼】  作者: 時波彷徨
2章05~カイザーファウンテンエリア~
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 盛り上がった岩石を飛び越え、間欠泉の水飛沫を避けて大きくジャンプするエンディとカイン。草地に着地をしてバウンドすると、前方の警告表示が一気に消えていく。ほっと一息をつくエンディの目の前に、ファイヤーフォール川に迫ってきた。


 二人は浅瀬を乗り越えてバイクモードにチェンジすると、次のカイザーファウンテンエリアまでの川沿いの緑地帯を加速して突き進んでいった。


「ティナが次のファウンテンエリアに入った!」

「おう!こっちも確認した!」

 カインにエンディが親指を立てて応答する。モニターに映し出されたティナが開拓しいくルート上で、間欠泉の位置データがオセロットAiを通じて補正がされていく。


この情報のおかげで、自分たちは強気の走りができる。次のエリアもティナを追跡して、なるべくラップを縮めてやる!と心の中でつぶやくエンディの視界が、ウルフマシンの機影をとらえた。林を抜けて、ファイヤーフォール川の浅瀬に向かってバイクモードで加速していくウルフブルーとブラウンの姿だ。


 二機のマシンはビーストモードに変形すると、次のエリアに向かってショートカットするために、蛇行する川の浅瀬を越えて抜けていく。


「にゃろー!やっと追いついて来たぜ!」

 エンディが舌なめずりをすると、

「グラウンドキャニオンでの借りは返してやるからな!」

 と言って、マシンをビーストモードにチェンジさせた。ウルフブルーとブラウンが辿ったルートの後を追い、その差を縮めていくエンディ。その後ろをカインが遅れまいとぴったりマークしている。その時、カインは、第一ファウンテンエリアを抜けつつあるマガネの位置マーカーを捕らえた。


 マガネの前方を阻む熱水泉、その中央から大きな水柱が姿を現す。マガネは、後ろに下がり距離を取ると、飛び越える体制を整えた。徐々に弱まって行く水柱を見計らって、助走をつけると、盛り上がった岩場を乗り越えて、熱水泉ごと飛び越えた。


トレイルの歩道路からその様子を見ていた観光客から歓声が上がった。


 その声援にこたえるように両手を上げガッツポーズを決めると、マガネは、ビーストモードのまま着地をして、岩石地帯を抜けて白く枯れた巨木の合間を抜けていった。


「マガネも抜けた!」

 ブースで思わず叫ぶテムジ。

「ラップタイムは?」

「ペースはティナ達より、やや上回っているわね。ラップ差も縮まっているわ!」

 レイチェルの言葉を聞き、驚きの表情でモニターを見るユアン。データ補正で走りやすくなったとはいえ、ここまでの成績をはじき出すとことは予想外だった!


「エンディ!マガネが追い付いてきている!」

 カインの言葉を受けて、驚きモニターを確認するエンディ。見ると第一ファウンテンエリアを抜けつつあるマガネのマーカーが点滅している。

「おっほー!マジかよ」

「このままいけば、最後のファウンテンエリアでは合流できるかもしれない!」

「おうよ!じゃあ!がんばってノーミス目指さなきゃな!」

 後輪の回転を上げると、エンディとカインは、一気に川べりの浅瀬に突入していった。


 バックミラー越しにエステートの機体を確認するベル。

「驚いた!あんたの予想通りじゃん!」

「ピンポイントじゃないけどな…」

 データマップのビフたちのルートを確認クラン。肩越しに後方を伺い、ベルに向かって言った

「ベル、ルート変更だ!ビフたちにおいつくぞ!」

「うほっ!」

 ベルがカウル越しに嬉しそうに笑うと、アクセルとふかして前輪を上げた。

「へいへい!了解。退屈なルート調査もいったん終了ね!」

 それを背中で聞きながら、水上の浅瀬をビーストモードで駆け抜けるクラン。目の前の水飛沫が派手に上がり、全身を派手に濡らしていく。

「ああ、データリンクに備えろ!ベル!エステートの連中の頭を押さえて、ラップを縮める!」

「了解!」

 二機が並走しながら小高い丘を越えていくと、ファウンテンエリアをつなぐ丘陵地帯に入った。

 なだらかな斜面に差し掛かると、バイクモードに変形をして、スピードを上げていくウルフブルー、ブラウン。後方から迫って来るオセロットイエロー、パールの二機の機影を感じながら、ファイヤーフォール川から離脱して、次の間欠泉エリアに向かっていった。


 カインとエンディのマシンは、前方のファウンテンエリアの西側ルートへ滑り込んでいった。

「前方のウルフブルーとブラウンが中央エリアに向かっている?」

 カインがエンディに向かって言うと、舌打ちしながらエンディがオセロットに向かって言った。

「オセロット、ティナの走破ルートへの合流路で、一番確実そうな推奨ルートを」

 オセロットのモニターから数本のルートが表示された。ティナはその中かから一番ラップ差が縮まるルートを選択し、カインとリンクした。

「奴らとルートが被りそうだな」

「中央ルートで勝負をかけるつもりかな?」

「ああ、もしそうならここからが正念場かな…、いこうぜ!カイン!」

「ああ!エンディ!」

 硫黄臭を含んだ水蒸気が再び前方を濃く包んでいくと、木の影が消え、湿地帯のように広がる平地が姿を現した。一瞬躊躇するエンディとカインだったが、警告表示は出ていない、そのまま平地に突っ込んでいくと、そこは固い岩盤の上であった。

 後輪を加速させて走るオセロットが、トレイルの歩道路を越えていくと、その場にいた観光客が歓声を上げた。

 走る二人の目の前に、台地を横断するかのように広がるグランドプリズマティックスプリングプールが現れた。虹色の淵を陽光に反射させる深いエメラルドの大きなこの湖の淵を、先行するウルフブルーとブラウンがエリアの中央ルートに向かって加速していく。

 それは、ティナとビフ、カルラが進んで行ったルートだ


 ピットブースのモニター上に表示される各レーサーの位置情報の光点マーカー。

 その動向を見つめるレイチェル、ユアン、テムジ。

 レイチェルは興奮気味に答えつつ、レーサーの走破データを集約していた。

 どうやら、カインとエンディも前方のユニバースのマシン、ウルフブルーとブラウンとのアタックに向かうようだ。

「どうか、エリアをクリアに導いてください。リタイアしませんように…」思わずテムジはボソッと神に祈った。

 ユアンも同じように心の中で祈っていたが、そのいのりがレイチェルの叫びで遮られた。

「ティナ!」

 レイチェルがモニターを見つめている。

 顔を上げてモニターを見るテムジとユアン。その視線の先には、ヒラヒラと舞う銀色の機体。間欠泉の水飛沫をぎりぎり空中で回避しているオセロットシルバーが、きりもみ、地上に落ちていく姿が映し出されていた。



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