02_05_05
大きく上がった水しぶきを越えて、ティナとビフとカルラがカイザーファウンテンエリアを抜けてきた。
首位はティナのオセロットシルバーが保ったまま、その後ろをビフのウルフブラックとカルラのウルフピンクが続く。
白茶けた石灰岩の岸壁から、草木の緑がなだらかな地表に戻っていくと、モニター上の警告表示が前方からどんどん消えていく。ここから次のファウンテンエリアに向かうまでのダートコースは、間欠泉が存在しないエリアが続いた。オセロットシルバーが、川べりの浅瀬を走り抜けていくと、それに続きビフとカルラも追い上げていく。
ライダー達の姿を確認したトレッキングコースを行く観光客が歓声を上げた。
遅れて迂回エリアからウルフブルーとブラウンの二機がホットスプリングの岩場を乗り越え飛び出してくると、ファイヤーフォール川に向かってバンクして、先頭集団の後を追っていく。
「見て!先生!ティナが首位を維持している!」
モニターを見つめるテムジが思わず声を上げる。
「ワオ!ホントにいい調子ぃ!」
「次のファウンテンエリアまでは、川べりのスピードルートだから、しばらくはトップを維持できそうですね」
ユアンもつられて嬉しそうに話す。モニター上のティナを見つめるレイチェルは、先ほどの言葉とは裏腹に、ティナが思いつめるとそれに集中しすぎる傾向があることを、ひそかに心配をしていたが、
「トップのプレッシャーで、無茶しなきゃいいけど…」
心配そうにユアンがこぼすた、レイチェルは、くすっと笑ってしまった。
「なに?ティナの男勝りをいつもネタにしているユアンらしくないじゃん!」
「お…俺は別に…」
と、やや顔を赤らめて口ごもるユアンに、
「大丈夫!ここまでいい試合をしていること自体、めっけものなんだから。早くにけがを治して、サポートに回ってあげないとね!」
とユアンに向かって励ますように言った。ユアンが困ったような顔を上げ、自分の腕のけがに少し手を当てると、
「先生!」
テムジが見つめるモニター映像を指さした。そこには、舞い上がる間欠泉をすり抜け、最後の岩場を乗り越えて飛び出してくるオセロットイエローとパールの姿が映し出された。
「エンディとカインだ」
川べりに降り立った二機が、バイクモードに変形して、追撃するかのように進んで行く。エンディは、視界の先にウルフブルーとブラウンの姿を明確に捕らえていた。
「よーしよし!かなりラップ差を縮めたぜ!」
「次、もし、あのブルーとブラウンが迂回路を選択してくれたら…」
「ああ、次のエリアでは逆転できるかもしれない!」
エンディは、まっすぐ前を見て、ティナのルートを見極めることに徹しようと決心していた。
「よっしゃ!エンディ!カイン!えらーい!」
思わず万歳をするレイチェル。
「うちの新入部員は優秀だあ!」
レイチェルの言葉に乗っかって、ユアンも驚きの様子を隠せない。
「ユニバースとの距離差もかなり縮んでいる。こりゃもしかしたら!」
エンディとカインの位置がトップ集団とかなり詰まってきたことを確認し歓喜にわくエステートブース。
「そうだ!マガネは?」
テムジが思わず真顔に戻り、慌てモニターでマガネの位置を探る。マップ上に示されるマガネの位置マーカーが点滅すると、その姿をドローンが捕らえた。
「いた!マガネだ!」
第一カイザーファウンテンエリアに差し掛かるエリア。写し出されたマガネは、高く舞い上がった水飛沫に阻まれ、その様子を、おおきく口を開けて、ぽかんと見上げていた。




