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ビーストライダー・マガネ【鋼】  作者: 時波彷徨
2章05~カイザーファウンテンエリア~
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02_05_01

【登録搭乗マシン】

●エステートスクール

・ティナ・ブリンクル      ;オセロットシルバー ←2位

・エンディ・ストランド     ;オセロットイエロー

・カイン・ホプキンス      :オセロットパール

・マガネ・アルバレス・アラキダ ;オセロットグリーン


●ユニバース学園

・ビフ・ハワード・マーティン  ;ウルフブラック   ←TOP

・ベル・エルドリッチ      ;ウルフブラウン

・クラン・グランニュー     ;ウルフブルー

・カルラ・ポートレイン     ;ウルフピンク  ←3位


「おおお!」

 モニタ上に映し出される光景に、エステートのブースは沸き立った。


「よっしゃ!さすがティナ!ユニバース相手に全然引けを取ってない!すごい!えらい!」

「レイチェル先生、喜びすぎですって!」

「そうですよ、まだ、距離差は全然縮まってないですよ…」

 ユアンとテムジがいさめるように言うものの、興奮したレイチェルは、

「これがよろこばずにいられますか!」

 と、鼻息荒く応じた。次のエリア、ファウンテンエリアは、足場の悪い石灰岩の段差と、ところどころ口を開けた虹色の温泉口。そして不規則に噴き上げる間欠泉。それらすべてが障害となって立ちふさがる難所である。スピードよりも、安全なルートを確保する慎重な観察力が求められる。しかし、だからこそ、後続のライダーはここで先行したライダーに追いつくこともできるのだ。ここを乗り越えれば、ユニバースに一矢報いることも視野に入れられる。


 君の実力を示す最後のエリアだ!がんばれ!ティナ!みんな!


 モニタ上で走るティナを見つめ。拳を握りしめるレイチェルとユアンだった。


 水蒸気の雲の層が厚くなり。硫黄のにおいがむせる草原に、モーターのうなりを上げてマシンが走る。なだらかな丘陵地に、ごつごつとした岩場が増えていくにしたがって、駆け抜けるマシンは、バイクモードからビーストモード主体へ変化していく。カイザーファウンテンはイエローストーンの目玉のレプリカエリアだ。その地形は本物そっくりながら、エンデユーロを盛り上げるための様々仕掛けが施されていた。そしてそれは、ライダーを最悪リタイアさせるための罠だ。あちこちから立ち上がる蒸気が、たちこめる雲のように地表を這ってライダースーツとマシンに絡みつく。間欠泉エリアが近づくにしたって、モニターマップのルート上に多数ポップアップされる警告表示。まるで安全なルートなど存在しないとつげているようだ。


 ルートを確保するためには、レストポイント、つまり間欠泉の影響を受けない場所を早くに察知し、陣取り、噴き上げる熱湯を避けて、このエリアを走破する必要がある。


 ティナはややスピードを落とし、ルートの見極めに移るタイミングを計っていた。後方から追い上げるユニバースの一団も、無理に仕掛けて首位を奪い返すつもりは無さそうだ。ティナは前に向きなおって低く重心を落とすと、ビーストモードを維持しつつ、石灰岩の山を飛び越えていった。


 その様子をユニバースのライアンコーチはモニタ上で眺めていた。彼女がなかなかの逸材であることは、イエローストーンエリアの半周で十分すぎるほど確認できた。


 なるほど、なるほど…、


 コーチは、モニタ上のティナのエントリーシートを確認しながら、次にマガネのエントリーシートを確認した。ロウスクールでのライド経験は確認できるが、ジュニアハイとミドルからのビーストライドの出場記録は無し。とんとんと机をたたき、思案するように顎をさする。


 彼の乗ってきたマシン。私は、あの機体を知っている。

 

 コーチは背もたれに上半身を預けて、ゆっくりと深くため息をついた。


「ティナが首位でファウンテンエリアに入った!」

 カインがエンディに向かって叫ぶ。

「まじか!こりゃ!ひょっとすると!ひょっとするかもな!」

 エンディも声を上げて、オセロットイエローのスロットルを上げるエンディ。

 先頭は、我らがエースのティナ。その後ろにユニバースの一団がついていっている。薄くもやる白い水蒸気に先に、赤茶けた大地と白の石灰岩が大理石の表面のようにまじりあって渦を巻いている地表のところどころに、美しいエメラルド色の泉が口を開けていた。

「きれい…」

 思わずエンディが感嘆の声を上げる。

「すごい…。これ、本当にレプリカなの?」

 カインも驚き目を奪われる。先ほどまでの空を覆いつくさんばかりの巨大な針葉樹林エリアとはうって変わって、遮るものの少ない地平が彼方まで広がって続いていた。


しかし、周りの草原が次第に白く、赤茶けた不気味な地面に変色し、枝葉もない白く変色した木々が、荒涼とした平地に墓標のように連なり初め、白くもうもうと上がる水蒸気があたり一帯を霧のように覆っていくと、その発生源である間欠泉は、すごい勢いで空にめがけて水しぶきを噴き出した。


 まるで地獄のようだ。


 思わずゴクリと生唾を飲むカイン。すると、はるか前方で小さく走るユニバースのマシンが二手に分かれ始めた。

「エンディ!」

「ああ、今は、ティナのルートを追跡しよう!」

「手筈は打ち合わせ通りで」

 ティナのサポート役は、エンディが行うことになっている。カインの言葉にこたえるようにサムズアップすると、エンディは、

「マガネ!一足先に行ってるぜ!」

 と言って、カイザーファウンテンに通じる下りの傾斜を突き進んでいった。


 マガネも、オセロットのナビに従って、前へ前へと進んで行く。


 誰もいないルートを走ることが、こんなに気持ちがいいなんて!


 高速で後ろに流れていく森や木や草花を感じながら、ただ前を目指して走る瞬間は最高に興奮する。

「このレースが終わった時…、少しは適性が上がっているといいなあ」

 ボソッとマガネが言うと。

「願えばきっと、あがりますよ」

 とオセロットが答えた。なんかAIらしくないなとマガネが笑うと、ちょっとオセロットに対する見方が変わったような気がする。まあいい。お楽しみは後でってことだと思い直して、今は目の前のルート探索に集中した。


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