02_03_07
ロウワー滝を超えたビフ、カルラ、ティナは、グラウンドキャニオンの激しい渓流を川上に進路を取っていた。グラウンドキャニオンの崖もやや滑らかになったイエローストーンの川べり斜面をさかのぼっていく。
ティナはペースを下げて、ビフ達の出方を伺っているようだった。
当然だ、仲間は全てロウワー滝で足止めを食らい、ティナをバックアップできるエステートの仲間が一人もいない。しかも、後続から、ウルフブルー、クランとブラウン、ベルが迫る今、ティナだけが先行して無理な走りをするのはリスクがありすぎる。ビフとカルラもペースをややティナに合わせつつ、エリア最後のポイントゲットを狙いに行く。次のアッパーフォールの崖を越えれば、巨大針葉樹林帯エリアに入る手前の、グラウンドキャニオンエリアのポイントゲット地点にたどりつく。
このままペースを守れば、ユニバースが手堅くそのポイントを得ることができるだろう。
走るカルラが後ろに回ると、ビフが先行して滝の左脇の崖を走り抜けていく。ティナもユニバースのペースについていくかのように後続ぴったりと張り付いていた。
この崖は、先ほどのロウワー滝よりも低い、川の反対側から右斜面のルートを回り込めば急な断崖だが、左側から回り込めば、そこまでの急こう配はなく、舗装された川を渡る橋まで、すぐ、たどり着くことができる。グランド・ループ・ロードを越えると、なだらかな平地が続き、その先にようやくカルデラを周回する巨大な針葉樹林帯の入口へとつながっていく。
そこを越えれば、グラウンドキャニオンエリアのポイントゲット地点だ。
先行するウルフブラック、ビフがピンクのカルラととも斜面を駆け抜けていった。しかし、二人を追い上げたティナのオセロットシルバーが脇から崖をすり抜けていく。木々を避けて進むビフとカルラが、サウスリムトレイルに沿って舗装された公道に合流すると、バイクモードに変形して、イエローストーン川横断する橋に向かって、一気に加速していった。すると、橋の先からドリフトしながらオセロットシルバーのマシンが飛び出し、あっという間にトップを奪った。
川を越えて先回りした?
森林帯で散った時か!まさか勝負をかけてくるとは思っていなかったビフとカルラの油断をついて二機を抜き去ったティナは、恐ろしいほどの加速をラスト見せて、平地を駆け抜けていく。
離されまいと食らいつくウルフブラック、ビフ、そしてピンクのカルラは完全に後続でついていくだけとなった。そのままエリアラストのクリアポイントまで、結局、ビフもカルラもティナを抜くことはできず、ティナはグラウンドキャニオンエリアのポイントを単機でゲットすることに成功した。
ポイントゲットのコールが各機に伝達されていく。トップはオセロットシルバー、ティナ。次いでウルフブラック、ビフ。そしてウルフピンクのカルラと続いた。
ティナはモニタのコールサインを確認すると、その後急激にスピードを下げ、ビフとカルラにトップを譲っていった。
カルラの脇を通る時、指を二本立てて挨拶をすると、一気に後ろに回って、後続に回って巡行に移るティナ、そしてその勢いのまま、三機は巨大針葉樹林がそびえたつエリアに入っていった。先頭を譲られる形となったビフが舌打ちをしながら後ろを伺う。
「昔のままかそれ以上だな。こんなところでくすぶっているのがもったいないくらいだぜ!」
同じくポイントゲットのコールを受け取るレイチェル、ユアン、テムジが思わず手をたたいた。
「よっしゃ!さすがティナ!」
先頭集団から、少し離れて後を追うウルフブルー、クランとウルフブラウン、ベルが、「信じられない!」とお互いの顔を見合わせた。
クライムヒル直前に迫ったマガネ達も思わず歓喜に沸いた。
「俺たちだって!」
カインの足場になるマガネ、上にほ放り上げるとカインがロウワー滝の頂上に到達した。
「ついた!」あの高さを踏破したことが信じられない思いのカイン、そんなカインをせかすようにエンディが声をかけた。
「カイン!マガネを引き上げるぞ!手を貸して」
下から伸びてくるワイヤーをつかんで、マガネを一気に引き上げると、大きく滝の上に飛び上がって、上空に舞い上がっていく。さかさまになった世界が眼前に広がり、一瞬ビビるマガネは、不思議な浮遊感にとらわれつつ、自分の足元に地上が見えてロウワー滝の頂上に着地した。息を切らして少し放心するマガネに駆け寄るエンディとカイン。
「こっからは挽回だ!ペース上げていこうぜ!」
声をかけるエンディ。振り向いたマガネが、ㇵっと我を取り戻すと、マシンをバイクモードに変形させると、パンとヘルメットのシールド越しに頬を両手でたたいて言った。
「ああ!終わった後にポイントゲットしたティナにでかい顔させないために!」
マガネの言葉におお!と答えると、カインとエンディも自分のマシンをバイクモードに変形させて、アクセルをふかすと、三人一緒にグラウンドキャニオンの最後の踏破に向かって行った。




