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ビーストライダー・マガネ【鋼】  作者: 時波彷徨
2章03~グランドキャニオンエリア~
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 河川を挟んで屹立する金色岸壁。その照り返しを受けて走る、カルラ、ビフ、ティナの目の前に、巨大なロウアー滝が姿を現した。


 アーティストポイントには、巨大なロウワー滝を見に来たたくさんの観光客が詰めかけて、イエローストーン渓谷をさかのぼってくるライダー達を確認すると、そちらに向かって歓声を上げ始めた。


 モニターを見つめ、登頂ルートを検索かけるティナ。幾通りかポップアップされたルートに目を配りながら、後方のチームメイトの順位にも気を配る。位置情報に開きが見られるカインとマガネに至っては、ロスタイムを考えると、ここでとどまって待つことはとても得策だとはティナには思えなかった。

 滝に近づくにつれて、おおよそ100M近い頭上から落ちてくる大量の水と、舞い上がる水しぶきが、晴れた空からふりそそぐ激しい雨のように四方に拡散して、ライダースーツとマシンを濡らしていく。乱れた気流が暴れて、この付近だけ嵐が舞っているようだ。


 そんな中、ウルフピンク、カルラは、ビーストモードから、ヒューマノイドモードに変形し、腕からワイヤーを射出した。張り出した岩の出っ張りにアンカーをひっかけて、一気にワイヤーを巻き上げると、自身の体を崖の上へと引き上げていく。その反動を生かしながら、さらにもう一方のワイヤーを射出、交互に張ったワイヤーの反動を利用すると、さらにその上の張り出しの上にまで、一気に上り詰めていった。


 ティナが息を飲んで、その様子を見守る。


 有利な連携ルートを確実に取っていくウルフピンク。 わかっていたことだが、ユニバースは常にそのチーム同士のペアの陣形を崩さず、相互のペースを合わせながら確実に歩を進めている。

 ビーストライドのコースは、不整地ゆえに、極端なオフロードコースになると、ビーストマシン単機での走破がほぼ不可能なルートも多数存在する。

 そのような時、複数のマシンが協力しあうことで走破不可能と思える場面を越えていくことこそ、ビーストライドの最も、見るべき醍醐味と言われている。チーム戦ともなれば、お互いにサポートしあうことで、単機では越えられないコースも、連携してアクロバティックに超えていく。もちろんライバル同士であっても、互いに協力して難所を越えていくことが、そのエリアでの高ラップ、得点獲得にもつながる。


 ビーストライドの本質は、チーム戦、ペアマッチとその連携と言われるゆえんだ。


 そして、ビフとカルラが選んだルートは、ティナのオセロットシルバーも示した、最もタイムロスが少ないと予想されるルートで、そこは単機では走破が困難なルートだった。

 カルラのマシンが岩の張り出しに手をかけてぶら下がると、ビフが駆るウルフブラックがワイヤーを打ち出し、自身も反動をつけて、岩場にぶら下がっているカルラのマシンに向かって飛び出していく。

 ウルフブラックがヒューマノイドモードに変形をして、ウルフピンクに手を伸ばすと、カルラがその手をつかみ、振り子のように反動をつけて、ウルフブラックをさらに上に放り上げた。

 くるりと回転するウルフブラックがさらに上の岩場に向かってアンカーワイヤを打ち出し、一気に二段飛び越えて、さらに上方の崖にとりついていく。ウルフブラックは、ボルダリングルートで、指先だけでその自重を支えながら、垂直に切り立った崖にぶら下がった。


 ロウワー滝を見に来ていた観光客から歓声が上がる。

 垂直面にラップが広がっていくのを実感しながら、ティナは自信も単機で登れそうな走破ルートを選び出し、ワイヤーを打ち出す。ビフとカルラが上るルートから、やや外れた別ルート選択して進み始めた。


 ウルフブラックが、別の足場からさかさまにぶら下がると、両手を下ろして、下方のウルフピンクに向かって手を伸ばした。すでにロウワー滝の崖の1/3は上っているビフ達の下方にはなだれ込む水しぶきが舞い上がり、まるで逆流する雨のように体を打ち付ける。

 ビフがふと横を見ると、ティナも単機でどんどん崖を上っていく。ワイヤーと手足を巧みに使うその技はまるで壁を這う蜘蛛のようだ。打ち出したワイヤーで一度大きく振り子のように反動をつけて、さらに上方のボルダリングルートにとりつき、どんどんと登頂していく。


 ティナの安定した登頂テクニックに観光客の間から歓声が上がる。


「パワーだけかと思ったら、なかなかやるね!あの子」

 思わず笑みがこぼれるビフが、下から飛び出してきたウルフピンクの手をつかみ、さらに上方へと押しやる。

「ああ、だが、単機じゃあな…」

 と言って、さらに上に向かう。

「周りのメンバーが足を引っ張りすぎだ…」

 ロウワー滝の崖の半分を越えようとするところに、流れる渓流の奥から走ってくるウルフ

 ブルーと、ブラウン、そしてその後方からオセロットイエローのエンディの姿が見え始めた。

「これじゃ、相手にならねえ」

 ビフは鼻で笑うと、ウルフピンクを従えてさらに上へと力強く登っていった。


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