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ビーストライダー・マガネ【鋼】  作者: 時波彷徨
2章02~イエローストーン川・ヘイデンバレーエリア~
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 レイチェルが、双眼鏡を使って、レーサーたちの様子を見つめていた。

「スタートダッシュは予想通りね、相手のブラックウルフが一番で、ティナが二番手、その後はユニバースのピンクとブルー、その後ろにエンディ、ウルフブラウンと来て、カインと…」

 加速する一団からやや遅れて、最後尾を走るマガネの姿を捕らえるレイチェル。

「マガネはちゃんと言われた通り、しんがりを務めているわね!えらいえらい!」


レイチェルの無邪気な言葉に、それって、ただ、スタートが遅れただけなんじゃ?との疑念がッよぎるテムジだったが、

「ドローンの追跡カムも良好です」

モニタに移る映像を見ながらレイチェルにこたえた。

「じゃあ、我々の監視ドローンも、中継地点に先回りと行きますか」

 ユアンが促すと、レイチェルとテムジは、ウインドウの画面を切り替えて、コース各地で中継を始めているカメラにアクセスして、予定エリアの先を追って行った。


 ウエストサム湖の外周、ループロードを走り抜けるライダーたちが、湖に流れ込む中洲沿いのコーナーバンクを攻めて、イエローストーン川からヘイデンバレーに向かって抜けていく。目指すは、イエローストーン河川沿いのロードコースだ。


 ビーストライド・エンデューロ用に特設されたロードマップは、一般公道とも接しているが、ビーストレースとして許可された時間帯は、道交法の制限は一部免除され、ビーストライダーの制限スピードは大幅に緩和される。


 高速にでも乗ってるつもりか!と、踏ん張るマガネも、前方を走るライダー達に遅れまいと、最後尾ながら奮闘していた。前方を走るカインのマシン、オセロットパールの後ろに付けるように、自身のオセロットグリーンのハンドルを握るマガネだったが、想定以上のスピードに拳が震える。最後尾を走っているのは、先生たちの指示だからとかではなく、今は単純に自分のスタートダッシュとコース取りの甘さが原因だからだと感じていた。焦るマガネにオセロットグリーンが警告した。


「マガネ!コース予測をもとに、IN、OUTのタイミングを調整してください。ペースが崩れます」

「俺の操作が悪いっていうのか?」

「体移動の負荷をかけるタイミングが良くないようです。タイミングサポート、致しますか?」

「い!いらねーよ!」

 コーナーアウトと同時に無理して加速するマガネは、自分の中にオセロットグリーンに対して不信感が増していくのを感じた。


 猛スピードで走るマガネ達にとって、稜線に沿って敷設された緩やかなスラロームでさえ、集中しなければ体を吹き飛ばされそうな急カーブに感じる。

「こんなスピードで、みんな平然とパスしていくなんて!」

 正直、今は目の前を走るカインのペースにさえついていくのがやっとだ。


 湖の河口から河川に従って、コースが左へ曲がっていくビーストライダー達。ウルフブラック、ビフを先頭に、オセロットシルバーのティナ、ウルフピンクのカルラ、ウルフブラウンのベル、オセロットイエローのエンディ、ウルフブルーのクラン、、オセロットパールのカイン、そして、オセロットグリーンのマガネと続いて、マシンがバンクを加速させてイエローストーン川に沿った丘陵地帯に入っていった。


 前方を凝視しながら、IN、OUTのコースを見極めようとするマガネ。しかし、カーブに差し掛かった次のストレートで、すでにカインたちのシルエットが遠くに移動している。

「タイミングサポート、致しますか?」

 オセロットグリーンがマガネに問いかける。

 マガネは何も言わず、自分の力だけでカインたちに追いつこうとするが、徐々に引き離される自分に絶望を感じた。


 くそっ!くそっ!こんなはずじゃなかったのに…。


 悔しさで胸がいっぱいになるマガネ。

 イシュバランなら…


「タイミングサポート、致しますか?」

「うるさい!」

 思わず叫ぶマガネ。


 こいつを黙らせたい!


 一人遅れていく自分のふがいなさを感じながら、マガネはオセロットグリーンのメッセージに耳をふさぎたい気持ちで一杯だった。



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