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オセロットグリーンの釈然としない評価にぶすっとしながら、パドックエリアから、ピットスペースへとバイク形態のまま徐行で転がしていくマガネ。
すると、ユニバース側のマシントレーラーからも、ゆっくりとビーストマシンがバックして降りて来た。
ウルフタイプのライドマシン。
パドックエリアを横切って、各部調整を終えたらしきブルーのマシンがゆっくりとユニバースのピットスペースに向かっている。ミドルクラスながら、比較的大きいサイズ。オセロットタイプよりもマシンパワーを感じさせる。どちらかというと、サスペンションを生かした軽妙さが売りのオセロットに比べ、マシンパワー自体を売りにしていそうなそのシルエットは、よけい威圧的に一回り大きくすら見える。
「あれでミドルクラスかよ…」
イシュバランでやらしてもらっても良かったんじゃねえか?などと訝しむマガネ。すると、その奥から稼働テストを行っているピンクのマシンが姿を現した。
乗っているのは女性ライダーか?ウルフ・ピンクのマシンは、ビーストモードからヒューマノイドモードに変形すると、くるりとバク転、着地と共に低く姿勢を落として、さかさまになってスピン状に回転する。小柄なライダーにもかかわらず、変形したマシンを、まるでダンスするかのようにステップを踏み、軽々と操作している。さながらブレイクダンスのように踊るそのピンクのマシンの動きに、一見重そうなあのマシンが、あんなに軽やかに動くだなんて…と、マガネの目は奪われた。
「すげえ…」
マガネは自分の心臓の鼓動が早くなるのを感じた。同い年のライダーが、自分の手足のようにあんなにうまくビーストマシンを操っている…。オセロットグリーンの先ほどの言葉が突き刺さる。
踊りながら回転して、バイクモードに変形したピンクのライダーは、そのままセーフドライブモードにしたのか、流れるようにシートに体を預け、ハンドル足をのせて寝そべると、パドックエリアを徐行しながら、ユニバースのピットインエリアに向かって行った。さらにその奥から、新たなビーストマシンが一台、パドックエリアに横付けされたユニバースのトレーラーの荷台から、その黒い機体を鈍く光らせながら、ゆらりとその姿を現した。
先のマシンと同タイプなのに、それ以上に大きく見える。
ビフのマシンか…?。
マガネはそのマシンを睨みつけながら、パドックエリアを横切ると、やがて、ピットインエリアの壁に阻まれて、ビフのマシンは見えなくなった。
ビフは、そんなマガネのマシンに目もくれず、もくもくとマシンの稼働テストを行っていた。
マシンを変形させて、ヒューマノイド形態にして手足の動作を確認。再びバイク形態に変形させると、口ひげを蓄えた一人の男がビフに話しかけてきた。
「ビフ、君が強引に推すから仕方がなく許可したが、本当に、そんな価値がエステートスクールの選手にはあるのかね」
やや呆れた様子でビフに語りかけるこの男に、「肩慣らしとしてはちょうどいいんじゃないですか?」と軽口で返すビフ。「無駄足にはならないと思いますよ。ライアンコーチ」ビフの言葉に、やれやれと言った様子で、男が肩をすくめると、「まあ、今回は、このイエローストーンコースを抑えとくことだけでも良しとしよう…ところで、この、変更になった生徒だが…、君の知り合いかい?」
「ああ、幼馴染だった、昔スキャンダルを起こして死んだ、ビーストライダーの息子さ…、やめたって言ってたんだがな?まともに走れるかどうか…」
ククッと笑うと
「まあ、今日こそ、スクラップライダーにしてやりますよ」
「ふむ…、なるほど…スキャンダルを起こしたビーストライダー…ね…」
マガネの乗っていたマシンを思い出してにやりと笑うコーチと呼ばれた男は、あきらめたかのように続けた。
「まあいい…、君は、次期ライド部のキャプテン候補でもあるが、マーティン社の跡取りとしても大事な身だ。あまり踏み込みすぎないようねがいますよ。ビフ・ハワード・マーティン様」




