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【登場人物】
・マガネ・アルバレス・アラキダ;エステートスクールに通う少年、アメリカンフットボール部に所属。父、エウロイは幼い頃亡くなり、母、ユウミと郊外で二人暮らし。隣には祖父、善五郎も住んでいる。
・ティナ・ブリンクル;エステートスクール、ビーストライド部のエースライダー、マガネの幼馴染の少女。ビーストライド部で活躍して、ハイスクールの推薦を勝ち取り、家計の助けになるように願っている
・テムジ・ウォルシュ;サイエンス部に所属して、成績もよく、先生方の覚えも良いマガネの仲のいい同級生の少年。ライドマシンメカニックに興味を持ちビーストライド部に入部。
・エンディ・ストランド ;エステートスクール、ビーストライド部、マガネとティナより一学年下の、赤毛でそばかす、少し小柄でおしゃまな女の子。ちょっと勝ち気な一面も。
・カイン・ホプキンス:エステートスクール、ビーストライド部、マガネとティナより一学年下の、やや長身の優しそうな少年。
・ビフ・ハワード・マーティン;マガネとティナとの幼なじみで、ゼネラルエレクトロニクス・マーティン社の御子息 今はユニバース学園ビーストライド部の次期エース。
・ベル・エルドリッチ;ユニバース学園ビーストライド部、ビフと同級生のライダーの女の子。
・クラン・グランニュー;ユニバース学園ビーストライド部、ビフと同級生のライダーの男の子。
・カルラ・ポートレイン ;ユニバース学園ビーストライド部、ビフと同級生のライダーの女の子。
・ユアン・ストラットン;ビーストライド部キャプテン ティナのペアライダーだったが、ピットインブースでケガを負い、レースに出られなくなった。
・レイチェル・ヤング;エステートスクール教師で、ビーストライド部の顧問教師兼コーチ。
・ライアン・セドリック;ユニバース学園ビーストライド部、ビーストライド部の顧問コーチ。
【イエローストーン国立公園とは】
世界初の国立公園に指定されたこの公園には様々な間欠泉や温泉、地熱による観光スポットが散在していることで有名であるが、グリズリーやオオカミ、アメリカバイソン(バッファロー)やワピチ(エルク)の群れが生息していることでも知られる。手付かずの巨大温帯生態系の一つであるイエローストーン圏生態系の中心になっている。北米で最も人気のある国立公園である。
ビフの驚いたような目が、みるみる怒気を含んだものに変わっていった。
「てめえ…、なんのつもりだ…、それに…そのマシン」
マガネがまたがるビーストマシンを忌々しそうに睨みつけるビフ。青いボディのジャガータイプのビーストマシン。エステート・スクールが使用するオセロットマシンと同系統に見えなくもないが、どうやらミドルスクールで扱うマシンには見えない。こいつは、どこでこんなマシンを…、と思案していると、マガネは不敵な笑みを浮かべ、得意げに言った。
「そういうことだ!ビフ!てめえの好きにはさせねえよ…」
決まった…そんな雰囲気を全身にまとい、フッ!と笑みを浮かべるマガネ。
「マガネ!」ティナの表情がかすかに緩み、マガネに向かって駆けだした。
そうさ!ティナ!待たせたな!でも俺が来たからには…
笑みを浮かべてティナのほうに振り向くマガネ、しかし、目の前に飛び込んできたのはティナの拳だった。
マガネの頬をヘルメット越しに捕らえた鉄拳は、横殴りにマガネの身体ごと大きく吹っ飛ばした。
「何を考えてるの!このバカ!部をつぶす気!」
仁王立ちになったティナの姿が、地面に頭から転げ落ちたマガネの目の前に立ちはだかっている。
「おいおい!やめろティナ!試合前に拳をつぶす気か!」
「ああ!もうっ!」
慌てて飛んでくるユアンに止められ、ティナはあきれたように頭を抱えて拳を振り回した。
「そんなごつい無登録マシンで試合できるわけないでしょ!私たちはミドルクラスなのよ!」
慌てて近づいて来るレイチェルが「あなた…このマシン…」と、ビーストマシン、イシュバランを見つめて、息を飲んでつぶやいた。そんなレイチェルに慌てて弁解するかのように「お…オートドライビングモードで、安全走行できたから…だ…大丈夫です」と、しどろもどろにマガネが言うや否や、レイチェルもマガネに近づき思い切り頭をはたいた。
「んな言い訳通じるわけないでしょ!」
「おいおい?どういうことだ?マガネは出んのか?出ないのか?」
怪訝な顔で咎めるビフに向かって、ティナは、
「マガネは部員じゃないから!今回の試合には関係ない!」
ときっぱりと言い放った。
唖然と見ていたテムジが、
「ちょちょちょ…ちょっと待って…」
と仲介に入ろうと近づくと、それを制するように間に入ったレイチェルが前に出て、
「すみません、事前登録が済んでいない生徒が紛れ込んで…」
と言って、ビフに頭を下げる。
「ちょちょ!レイチェル先生!まってくれよ!」
レイチェルの様子に慌てて、マガネは、泣きそうな顔でレイチェルに取りすがった。
「当たり前でしょ!無登録選手が殴り込みで参加なんて!」
マガネの首根っこを掴んで引っぺがそうとするティナ。
そんな目の前の光景をぶぜんとして眺めていたビフだったが、フン!と鼻で笑うと、
「まあ、いいさ、たかが練習走行だからな…」
驚いた様子でビフのほうに振り向く一同。
「イエローストーンコースのデモンストレーションも兼ねて、その安全性をテストするのも一興だ」
尻もちをついたマガネがハッ!と嬉しそうに顔を上げた、
「ま、そんなふざけたカッコのスクラップ野郎が、一人紛れ込んだところで、たいして役にも立たねえだろうがな」
一言付け加え、薄ら笑いを浮かべるビフと目が合うと、思わずマガネはぶすっとして顔を横に向けた。
ビフはそんなマガネを呆れたようなまなざしで見つめると、レイチェルに向かって、
「とりあえず、試合前までにライダー選定をして、メンバーを提出してくださいよ。会場関係者とライアンコーチには俺から言っておくから」と言うと、踵を返して、ユニバースの使うピットエリアに戻っていった。




