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ビーストライダー・マガネ【鋼】  作者: 時波彷徨
1章  ~ビーストライド~
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 レイチェルは、毎週定例の教科会合を終えて職員室に戻ってきた。

パソコンを立ち上げて、メールをチェックすると、一件のメールが飛び込んできた。


 サブジェクト;『ビーストライド親善レース、エンデューロ会場候補地に関しまして』


 レース会場の候補が来た!


 レイチェルは慌て、メールをクリックして、内容を確認する。

 差出人は、ライアン・セドリック。ユニバース学園のビーストライド部のコーチだ。

 学校内の練習場以外でのレースを、部員たちに体験してもらいたくて、いろいろの学校に、模擬レース戦やレース会場の確保などの打診を行っていたレイチェルだったが、最近は、なかなか色よい返事がもらえずにいた。


 ライアン・セドリックーも、その一人だ。


「両校にとって有望な、次期主力選手の育成にご協力いただけるのであれば」


 飛び込み営業のようにお願いをしたレイチェルに対して、強豪校のおごりもなく、物腰柔らかく対応してくれたライアンコーチは好印象を抱いたのを憶えている。


「拝啓、レイチェル様」


レイチェルはメールを開いて読み上げた。


「今回の模擬レースに関して、

 お互いのライダーたちの技術力の向上と成長のため、

 より良好な協力関係が得られればと考えております。

 こちらとしましては、7thから次期主力選手と考えている選手を、

 参加ライダーとして登録予定といたします。

 貴校にいたしましては、同じく4名で、

 2×2ペアバトルの形式をとれれば幸いと考えております」


 強豪校のユニバース学園は、選手層が薄いエステート・スクールとは違う。部員も多いユニバースの主力のライダーは、むしろ8thに集中している。それなのに、主力の選手を出さず、「次期主力選手の7th」を出す、と言うことはつまり、控えの選手を出すことを堂々と宣言していることとなる。レイチェルにとっては不服も感じたが、

「部員がいない上に、部活動自粛に追い込まれそうなこちら側には、むしろ有難い話」

 としぶしぶ自分を納得させつつ、メールを読み進める。


「また、今回のレース会場といたしましては、

 とある関係者様からの厚遇によって、

 今期新しくビーストライド・エンデューロの会場として、

 オープンが予定されている


 “イエローストーン国立公園、特設レースエリア”


 を、その試験運用も兼ねて、お借りすることが出来ました。

 カルデラコース一周をメインルートとした、

 スーパーエンデューロにて進めていければと考えております」


 目を丸くするレイチェル。

 慌て、メールに添付された予定会場のホームページへとジャンプする。


 イエローストーン国立公園、エンデューロレース・エリア


 そこは、数百万年前、北半球を火山灰で覆う強力な噴火を起こしたイエローストーン火山の、その火口カルデラをぐるっと周回する、長大なコースである。

 国立公園指定されたその大自然公園は、総面積8,980km²もの広大な敷地に、地球上の約半分の温泉、約3分の2もの間欠泉があり、七色に輝く巨大な温泉や、黄金色の岸壁で彩られたグラウンドキャニオン、そして、巨大な針葉樹が立ち並ぶ大森林地帯など、極めて特異な自然景観をたたえた、北米でも屈指の人気の高い観光スポットでもある。


 そして、今回行われるレースエリアは、ウエストサムの湖にあるキャンプエリアからスタートし、ヘイデンバレー、マッドボルケーノを越えた先、黄金のグラウンドキャニオンを経て、その上流にあるロウアー滝、そして巨大針葉樹林帯から、間欠泉エリアを抜けて、再びウエストサムのキャンプエリアに戻るという、総延長100マイル(約160Km)にも及ぶロングレンジコースだった。


「まさか、プロのビーストライドレーサー会場として来期オープン予定のオフロードコースが、そのまま試合会場になるだなんて!」


 たかがミドルスクール同士の練習試合のはずなのに―!


と、ライアン・セドリックの、自分の予想を超えた提案に対して、レイチェルは、うれしさを通り越して、大変な焦りと緊張と興奮を感じ始めていた。


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