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大きな土手の下り坂を降りて、スピードを落とすと、走り終えたマガネが両膝に手を置いて大きく肩で呼吸をした。
川べりのグラウンドのコーナーで空を仰ぐと、川をまたいだ鉄橋を長い長い貨物列車が通り過ぎていく。
山間の地平先に延びる夕日の光は傾きを強め、反対の夜の闇はだんだん星の光が増してきている。視線の先、空高く浮かぶ衛星軌道のリングが、斜めから照らし出す光に反射して、キラキラと光の粒を明滅させると、流れ星が一つ落ちていく。空を覆うアステロイドベルトから降り注ぐ隕石の光だ。多い時には流星群のように降りそそぎ、地上に達して被害を出すことも多い。
起き上がると、マガネはグラウンドで柔軟体操を終えて、いくつかトレーニングメニューをこなす。
家に帰るころには暗くなっちまうなあ…。
マガネは坂道を上がると、家路に向かって走り出した。暗く落ちた夜の空に、また一つ、流れ星が落ちていった。
夜のとばりが落ちる中、テムジは、自転車を必死で漕いでいた。
空の暗さは深くなり、その闇を幾重もの流星が降り注ぐ。
体力に自信のないテムジは、坂道に震えながら必死で前に進もうとしていた。息が上がり、汗が体中からこみあげてくる。急こう配の厳しさにがくがく足が震える。
「だめだ!そんなの!絶対だめだ!」
泣きそうな目で踏ん張りながら、立ちこぐテムジは、マガネの家に向かって必死で自転車を走らせていた。




