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練習試合終了のホイッスルが鳴る。
背中向けに倒れて激しく息をするマガネ。手ごたえを感じず、思ったように動けていない自分にやや反省していると。先輩でキャプテンのエレンが見下ろしていた。
「マガネ!ダウンの準備をしろ、明日から、Aチーム参加で練習だ」
マガネは目をぱちくりさせると「え?それって?」と驚き、起き上がった。
「スタメン候補入りってわけだ、次の選抜次第では、そうなる」
信じられない!といった表情で立ちすくんでいると、周りから6thのチームメイトがやって来て次々とマガネを小突いていった。
「畜生!やったな!」
「なんでお前なんだよ!この野郎!」
「次の試合、覚悟してろよ!」
次々と拳を当てられるマガネが我を取り戻すとエレンに向かって
「ありがとうございます」と言い、その足でクールダウンのランニングに向かった。
整理運動を終え、まさか、スタメン入りの切符にここまで近づくなんて!
と高まる気持ちを抑えつつ、部室に向かうマガネ。
すると、その先に見慣れない制服の四人が歩いていた。
うちの制服じゃない。ユニバースのものか?しかし珍しいな。何かの見学か?
と何の気なしにそちらのほうを伺うマガネ。真ん中のガタイのいい男の顔を見て、マガネの顔が凍り付く。
「インチキライダー!」
幼いころの記憶がよみがえる。
ビフ!あいつか!なんであいつが!
ヘルメットを目深にかぶり、ユニフォーム姿のまま困惑しているマガネ。
そんなマガネに気づくことはないビフに向かってクランが聞いた。
「ビフ、さっきのライダー、ティナとは知り合いかい?」
その言葉を聞いたマガネがびくっと反応する。
ビフは軽くあざ笑うかのように応えた。
「ああ、ちょっと昔、エレメントスクールでな、遊びでやりあっただけだ。ま、今日は無駄足だったかな…」
「ちょっと活気がないかなあって気がするね、あれじゃあ、練習にもならないんじゃあ…」
と、合いの手を入れるベルに向かって、
「まぁ、でも、念には念をってな」
ビフが肩越しに、ベル、クランとカルラのほうを伺い立ち止まった。後に続く3人も立ち止まると、カルラの膨らましていたフーセンガムがパチンと割れた。
「エステート共のビーストライド部は、きっちりぶっ潰さないと…」
眼光鋭くクランとカルラを見るビフ。マガネは、そちらのほうに目線を向けず、ビフの傍らを通り過ぎた。
エステート共のビーストライド部をつぶす?
心臓の音が激しく高鳴る。マガネはそのまま角を曲がって、そそくさとビフ達の視界からその姿を遠ざけていった。




