08
部室に入ったマガネは、自分のロッカールームに向かって行った。
「おう!マガネ!先に行ってるぞ!」
すれ違うチームメイト達は、すでに着替えてグラウンドに向かっている。通りすがり軽く相手の拳を交わして返事をするマガネは、ちょっとした出遅れ感にさいなまれつつ、制服を全部一気に脱ぐと、ロッカールームに荷物を押しこみ、慌ててユニフォームに着替えた。
マガネは、ソックスをはいて、アンダーウェアを着こむと、フットボールパンツにヒップパットとニーパット、サイドパットを自分好みの定位置に押し込んで、素早くパンツを履いた。ユニフォームの上着をショルダーに着せると、上半身を潜り込ませる。マガネは、自分のスピードとばねを殺さないように、ユニフォームの総重量をなるべく軽くするように調整していた。タックル時の防御力は落ちるが、動きやすさ優先だ。
ベルトを締めて着心地を確認すると、スパイクを手に取り、履いてひもを締める。
ママが朝渡してくれたニューモデルだ。
「きっちり使い込んで、早く自分の足になじませないと」
足のグリップがマガネの勝負所だけに、変に履きなれないと明日以降の選抜で不利になるかもしれない。
「きっちりレギュラー、獲ってきなさい!」
応援してくれるユウミの笑顔が脳裏をよぎる。
アメフトは激しく体がぶつかり合うとても危険なスポーツだ。
でも、ママは、アメフト自体活動することに関してはとても前向きだ。
スパイクのひもを強く締めるマガネ。善五郎に泣きながら訴えていたママの背中が脳裏で重なる。
「あの子に、ビーストライドを近づけないで!」
病院のベッドで眠るマガネの、まだおぼろげな意識の向こう、ぼんやりとしたシルエットと声だけが響いていたのが強く記憶に残っている。泣いているママ。困り果ててしまう爺ちゃん。西日が差すカーテンが翻って、二人のシルエットを隠していく。
パン!っと両頬をはたくマガネ。
今はスタメン入り目指して集中しなきゃ!
マガネはヘルメットをかぶると、ロッカーに鍵を閉めて、グラウンドに向かって行った。




