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転移巫女と勇者の二大陸物語(仮)  作者: 煌清
2章 2部
76/82

76.酒場



俺は屋敷から街の方へ下っていく。もう賑やかな声が耳に入ってくる。


「優、こっちだ。」


リカルドが手を振る。


「すみません。待たせました。」


俺も少し頭を下げる。


「臭いはとれたな。カレンさんは今、店の場所を取ってもらっている。行こうか。」


「はい。」


と、俺もリカルドさんと歩き出した。しばらく歩くとリカルドは店の中に入る。

すると、テーブル前の椅子にカレンさんが座っていてもう注文をとっていた。


「優。お疲れ様。まあ座って。もう勝手に注文はしてあるわよ。」


俺は椅子に腰かけ頭を下げた。リカルドも腰かけ3人掛けで丸テーブルを囲んだ。


「はい。大丈夫です。」


すぐに飲み物が運ばれてくる。


「これは?」


俺はカレンさんに尋ねた。


「これはエールビールになるわね。ラガーもあるわよ。この街は酒が名産品なのよ。香りが苦手だった?ラガーに頼みなおす?」


俺は首を振る。どちらもわからないからだ。飲めればそれでいい。


「じゃあ乾杯しようか。」


リカルドが俺達の話が終わったのを確認してから音頭をとる。


「乾杯。」


木のジョッキをぶつけ合い一斉に飲みだす。これはあちらの世界と同じ習慣だ。

乾杯を皮切りに沢山の料理が運び込まれてくる。殆どが肉料理になっている。

HPで管理されたこの世界でバランスの良い食事もないのかもしれない。

とりあえず俺達は食べ物を口に運び肉料理に舌鼓を打った。腹が少し膨れたのかリカルドが話し出す。


「・・でどうだった?死の森は。まあ今まであそこまで瘴気に覆われた事がなくてな。俺達も兵も生きてる奴で入った奴がいないんだ・・・。」


俺は肉をモグモグと咀嚼しエールで流し込んだ。


「ああ。最初は死ぬかと思いましたね。あの青とか黒とかレベルが上がると色が変わっていくじゃないですか?あれ何なんですかね?」


カレンがそれに答える。


「それは瘴気のパラメータみたいなものよ。レベルが上がっていくと色が少しづつ変わってレベル5だったかしら?完全に青に変わる時に身体能力も変異するらしいわ。受け売りだけどね。」


カレンは何気なく話しエールを飲み干しお代わりを頼んだ。


「ちょっとまて・・・優、黒って言ったか?会ったのか?黒いのに!」


リカルドが慌てて席を立つ。俺もエールを飲み息を吐きお代わりを頼んだ。あちらのビールと比べて癖が強い。


「はい。だから死にかけたんです。明日はもっと上手くやれます。」


リカルドは開いた口が塞がらないという顔をして椅子にゆっくりと腰かけエールを飲み干し、お代わりを所望した。


俺は死の森に入ったところから順に説明する。


「と、言うとだ・・優が入って暫くは弱いアンデットがうろついていて、奥に行くに連れて強くなって行くという感じでいいのか?」


俺はジョッキを煽り頷いた。


「そうです。なので兵達やリカルド達が中に入って一定のラインを越えなければこちら側の瘴気を薄く出来る訳です。秘密兵器もあるので1本づつ差し上げますよ。」


俺達はそれから死の森の話で盛り上がる。

暫くし夜も少しけ話はお開きとなった。もっと飲んでいたかったが侯爵に呼ばれてもいたからだ。


「兵達にも伝えとくわ。優、たった1日で凄く強くなったようね。」


俺は鼻を掻きながら答えた。


「あそこに入って生き残ればそうなりますよ。まだまだ強くなれそうですし・・まあ頑張りますよ。」


俺は一言カレンさんに告げ、カレンさんとリカルドと別れた。

今回はリカルドの奢りとなっていたようだ。カレンさんが酒をお代わりする度にリカルドが顔を顰めたのはこういう事だったのか。と俺は少し笑った。


邸宅に到着しリノさんに挨拶して、大階段を登った右手側に初めて案内される。


「侯爵宜しいでしょうか?」


リノさんがノックし俺はリノさんの後に続いた。


「入れ。」


マーサさんの声だった。リノさんは扉をゆっくりと開き俺を中に促すと一礼して外に出ていった。


「どうじゃ?親睦会は上手くいったかの?」


「はい。楽しい夜でした。」


俺はすぐに返す。扉の正面に大きな机があり侯爵がその机の椅子に腰かけている。

机の正面は応接室のようになっており両側にソファと真ん中に低い木製のテーブルが置いてあった。

そのソファに中学生のような容姿の浅黒い女の子が足を組んで座って俺を見ながら頷いている。


「強うなったか?実感はあるじゃろ?」


マーサさんは俺を応接ソファの正面に座るよう手で促した。俺はそのソファに腰を落とし侯爵とマーサさんを見やり頭を下げた。


「実感は・・そうですね。強くなりました。」


うんうんとマーサさんが頷く。


「旦那様よ。だから言ったじゃろう?」


侯爵は少し笑ってマーサさんに話しかける。」


「マーサ、お前も心配してたではないか?大丈夫じゃろうかー。とな。」


マーサさんは顔を赤くして反論する。


「な・な・・なんでわしが心配なぞと、・・まさしく計算通りじゃ。」


侯爵はそれを優しく苦笑いで受け止め、俺に真剣な顔を向ける。


「優くん、いや優。お疲れ様。で、死の森はどうだった?」


俺は死の森の件を詳しく話した。そして提案もさせてもらう。


「死の森は1層、2層、3層で構成できると思います。俺は2層の奥部で引き返しました。4層があるか、までは解りませんが今の兵達のレベルで1層は問題ないかと。」


マーサさんは頷く。


「その1層は青いアンデットが極めて少なく兵達でどうとでもなるという事じゃな?」


俺もマーサさんの質問に頷く。


「そうです。死の森の包囲を森の外ではなく第1層に押し上げれば、外から見えている森は通常の森になるはずです。・・恐らく3層は黒のアンデットの巣窟です。俺はそこまで到達したいと思っています。」


侯爵とマーサさんが驚き俺を睨む。


「黒の・・・巣窟じゃと?・・・あの姉弟はそこをぬけてきたのか・・どおりで。・・・いや、じゃとして、お前はその黒の巣窟に向かうというのか?」


「はい。黒いアンデットは単独ならなんとか倒せるようになってきてます。」


マーサは天井を見上げ答えを出した。


「明日は休みにせい。・・とは言ってもレイラと見てきて欲しい場所があるのじゃ。・・それと黒は黒じゃったのじゃろ?」


俺は首を傾げ頷いた。


「はい。皮膚が真っ黒なグールでした。」


マーサさんは真剣な目で俺を見た。



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