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転移巫女と勇者の二大陸物語(仮)  作者: 煌清
2章 2部
62/82

62.さとしvsギル



俺は寸でのところで、髭のもっさりしたデカい護衛兵の上段剣閃とエメラダさんの間に入り左手でエメラダさんを掴み右手に持った剣を振り上げた。もっさりの剣を上に弾き返し、もっさりは上段構えのまま後ろによろめいた。

エメラダさんは斬られずに済んだ。ヤバかった。俺はエメラダさんを放し冷や汗を拭った。

階段を登り切った躍場で護衛兵と西下層の兵が倒れている。どちらももう息はなかった。


「カシムさん・・だったか。」


「はい。」


俺の呟きにエリンさんが答える。俺も顔と名前くらいは覚えていた。俺は剣を構えるともっさり護衛兵を睨んだ。


――――――――――― 

ギル   レベル10


上級剣士


HP  29/36

MP  19/19


攻撃力   13 +25

防御力   12 +13

敏捷性   11 

魔法力   23

魔法防御   8


装備

鋼の剣      攻撃力に+10 

鉄の鎧      防御力に+ 9

鉄の籠手     防御力に+ 3 

鉄の脛当て    防御力に+ 3


スキル

剣術 レベル5 剣使用時 攻撃力+15

剣技 剣閃一斬 (MPを10消費し敏捷を1.5倍に高める一刀)



格闘 レベル2


魔法 


―――――――――――


ギルか。ホークと同じくらいのスペックか。だが剣スキルが2段階に達している。敏捷の少し高いホークの方に分があるか、攻撃力のギルか。格闘技だったらいいカードだよね。

しかし、剣閃一斬・・・剣技って何?初めて聞くが、こんなのもあるのか。

俺は直ぐに気持ちを切り替えギルへの警戒を1つ上げた。

先に踏み込んできたのはギル、ギルは少し口角を上げ一歩踏み込み斜め下から剣を振った。

敏捷が半分以下なのもあり俺はそれを一歩下ることで避ける。

右側に隙が生じるが俺も剣を持っているのは右手、俺は仕方なく左の拳で鉄の鎧の上からギルの左腹部を殴りつけた。

鉄の鎧が少しひしゃげ、ギルは目を見開き後ろへ下る。そして俺を睨みつけ話し出す。


「・・お前は見ない顔だが街のやつらじゃないな?」


俺は首を傾げそれに答える。


「まあ、ご明察だが見ない顔って、アンタ、リンダとチャフとホーク以外は見ない顔だろう?」


ギルは高い壁から街の方を眺めた。


「俺達はそこそこ監視してるんだ。ところでチャフを殺したのはお前か?」


ギルは俺を睨みつける。


「アンタ等は街の女性達を捕えているらしいけどその人達はどうしたんだ?」


俺は話を変え質問を質問で返す。


「ああ、そんな奴等はもういねえよ。俺はチャフの事を聞いてるんだ。」


女性達は殺されたのか。そして燃やされたんだろう。


「そうか・・・。チャフだったっけ?そんな雑魚はもういないよ。俺達にとってはそのレベルだ。アンタ等にとっての女性達と同じだ。満足したか?」


俺は怒りを隠しギルに笑顔を見せる。


「このヤロウ・・チャフはダチだったんだがな。」


ギルは怒りを露わに見せるが俺は笑顔を崩さず話をする。


「まあいいじゃないか?小さいことだろ?チャム?チャル?・・ええと誰だったっけ?」


ギルの頭に青筋が浮かび上がり剣を上段に構えた。


「剣閃一斬」


ギルが叫ぶ。先程の剣閃より若干早く見える縦に真っすぐな太刀筋。最早避けてくれと言っているようなものだ。同等の相手には脅威なのだろう。敏捷が1.5倍になったところでまだ遅いのだ。

それに口に出さないといけないのであればそれもマイナスだ。こいつの技なのか、剣スキルレベル5の特典なのかは今は不明だが。俺はその剣閃を素早く左に避け右手で剣を振る。ギルの腕に深い傷を入れるが、ギルも右手で剣を横薙ぎに振った。その剣を右手で持っている剣で上に弾く。

ギルは大きく空振り俺より上の空気を豪快にブォンという音をさせて斬り態勢を崩す。俺はがら空きになったギルの右手の二の腕にも深い傷を剣で付けた。

ギルのHPはまだ3分の1程度残ってはいるが手に力は入らずだらりと両手を落とし肩で息をし始めた。出血は多く、放って置いてもHPは減り続けていく。出血ダメージというやつだ。


「何者なんだ・・お前は?」


ギルは少し笑って俺に問いかけた。俺は少し頭を悩ませ答えをだす。


「まあ・・街の復興支援課ってところかな?」


ギルはそうかと呟き剣を出血している腕で持ち上げ構えをとる。


「ここも街の中なんだがな。」


と話し、ギルが剣を下から上へ振り上げようとしたが、そのギルの剣を俺が持っている剣で抑え込みそのまま剣を鎧のある脇腹に差し込んでいった。嫌な感触はなかなかに慣れない。

ギルは膝を付き咳込み俺を見上げた。


「ここは圏外だよ。」


俺はそう言うとギルの喉元を薄く斬った。ギルはそのまま前倒しに倒れ息をしなくなった。俺は戦利品の鋼の剣を拾い倒れているギルに手を合わせた。

なんというか、戦士だったよな。レベル上格上だったのが功を奏したのか剣スキルと格闘スキルが1つづつ上がり4になっている。

俺はエメラダさんとエリンさんのもとに駆け寄った。


「カシムさんは・・・残念でした。」


俺は頭を下げた。


「いえ。戦いですから。でも相手の兵を減らして私たちを2対1にしてくれたのだと思います。」


レベル差も考慮して3対2より2対1にしてエリンさんやエメラダさんの生存確率を増やしたのだろう。ギルのような隊長クラスでなければカシムさんの計算通りだったのだろうが。

下で兵士たちと戦闘をしていた護衛兵や隠れていた護衛兵らはギルが倒れたのを遠くに見るに裏手の方へ走り出し逃げて行く。

俺は階段を降りながら、それを追おうとしているこちらの兵士達に声を掛ける。


「追わなくて大丈夫ですよ。警戒を続けてください。」


兵士たちは俺達をみて頷き、また3人、もしくは2名一組で周りを見て回りだした。数名こちらの兵士達が倒れ動かなくなっている。

俺はエメラダさんとエリンさんに、合流して3名一組で動いて貰うように話す。

エメラダさんたちはしっかり頷き走り出していった。


片腕か・・もう片腕もいるのかな。俺は宮殿に向けて走り出した。



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